Column

財務のコラム

コラム

省力化投資補助金(一般型)の事業計画書の書き方|6つの章で書くことと審査で見られる点

結論

省力化投資補助金(一般型)の事業計画書は、公募要領が示す6つの章立て(事業者の概要、省力化投資の具体的内容、生まれた経営資源の活用、財務計画、実施体制とスケジュール、補足事項)に沿って書きます。審査では省力化指数・投資回収期間・付加価値額・オーダーメイド設備の4点と、浮いた時間を会社全体の稼ぎにどう回すかが見られます。課題、設備、浮いた時間の使い道、数字の4つが1本の話としてつながっていることが、書き方の要になります。

この記事でわかること

  • 事業計画書はその1・その2・その3の3つでできている
  • 事業計画書の書き方(6つの章で書くこと)
  • 審査で見られる4つの点と数字の作り方
  • 補助額と投資回収期間の計算例(従業員30名の場合)
  • 申請の流れとスケジュール(第9回)
  • 事業計画書で気をつけること

この記事では、第9回公募要領(2026年11月4日公開)の「事業計画書への記載事項」と「書面審査」の項目をもとに、事業計画書の全体像、章ごとに書くこと、数字の作り方、気をつけることを順に説明します。

事業計画書はその1・その2・その3の3つでできている

中小企業省力化投資補助金(一般型)は、人手不足に悩む中小企業が、自社の現場に合わせた設備やシステムを導入する費用の一部を補助する制度です。カタログから製品を選ぶカタログ注文型と違い、一般型は事業計画書の中身で審査されます。公募要領でも、カタログ注文型より審査項目が多いことに注意するよう書かれています。

申請で出す事業計画書は、次の3つです。

書類書くこと様式
その1補助事業の具体的な取組内容と、会社全体の目標数値とのつながり参考様式(ひな形)
その2将来の展望(自社にどんな付加価値が生まれるか)参考様式(ひな形)
その3会社全体の事業計画(労働生産性や1人当たり給与支給総額などの数値)指定様式

その1・その2は文章と図表で書く本文で、事務局がひな形を用意しています。その3は数字を入れる指定様式で、営業利益や人件費などを入力すると労働生産性が計算されます。米国の追加関税措置の影響を受けていて審査での考慮を希望する場合は、その1・その2を関税影響事業者用の指定様式で作ります。

本文はPDFにして電子申請システムに添付します。公募要領では、A4サイズで可能な限り簡潔に作るよう求めており、分量で採択を判断するものではないとしています。

ポイント

分量で採択が決まるわけではありません。6つの章を漏れなく、図表を使って読みやすくまとめることを優先しましょう。

事業計画書の書き方(6つの章で書くこと)

省力化投資補助金(一般型)の事業計画書の組み立て方

その1・その2のひな形には、次の章立てが盛り込まれています。上から順に読むと、1つの話として流れる構成です。

  1. 事業者の概要(1-1 現状分析、1-2 経営課題、1-3 省力化補助金活用の動機・目的)
  2. 省力化投資の具体的内容(2-1 業務プロセスや配置のビフォーアフター、2-2 期待される効果と会社全体への波及効果)
  3. 省力化投資で生まれる経営資源の活用による新たな付加価値の創出(3-1 労働生産性と1人当たり給与支給総額等の向上)
  4. 財務計画(資金調達と今後の数値計画)
  5. 事業の実施体制とスケジュール
  6. 補足事項

1. 事業者の概要:人手不足と課題を、工程と時間で書く

最初の章では、自社の事業と強み、いまの人手不足の状況を書きます。現状分析は、社内の強み・弱みと、市場の機会・脅威を表にまとめると整理しやすくなります。

経営課題は「人が足りない」で終わらせず、どの工程に、誰が、1日何分かかっているかまで書きます。公募要領も、課題を解決するために不可欠な工程ごとの内容を明確にするよう求めています。ここで測った時間が、あとの省力化指数の計算の土台になります。

2. 省力化投資の具体的内容:設備の構成とビフォーアフター

導入する機械装置やシステムの名称、構成、金額を書きます。単価50万円(税抜)以上の主な資産は名称・分類・取得予定価格を、単価500万円(税抜)以上の機械装置は種類が具体的に分かる名称を、ソフトウェアは発注予定先を記載します。型番や導入の時期も、詳細なスケジュールとして書く必要があります。

中心になるのは、設備を入れる前と後で、業務の流れと人の配置がどう変わるかの比較です。工程ごとに「いま何分、導入後何分」を並べた表にすると、審査する人が一目で省力化の大きさをつかめます。

汎用的な設備を1台だけ入れる計画は、対象外になりやすい点に注意します。自社の現場に合わせて周辺機器や機能を組み合わせた構成にすれば、オーダーメイド設備として対象になります。なぜその構成でないと自社の工程が回らないのかを、この章で書いておきます。

3. 浮いた時間の使い道:付加価値の生み方を書く

審査で特に重く見られるのが、この章です。公募要領は、補助事業で省力化された時間や労働力を高付加価値業務に振り向け、賃上げにつなげるという、会社全体での人の配置の見直しの観点を求めています。

例えば「検品の担当者2名のうち1名を、受注の増えている製品の加工に回す」「空いた時間で新しい取引先向けの試作を受ける」のように、浮いた時間をどの仕事に、何人分回すかを具体的に書きます。省力化が一部の工程で止まらず、会社全体の売上や利益に広がる話になっているかが見られます。

4. 財務計画:資金の用意と数値の見通し

補助金は、設備の導入と支払いを終えたあとに支払われます。設備代をいったん自社資金や借入でどう用意するかを書きます。金融機関から借り入れる場合は、指定様式の金融機関確認書も出します。

あわせて、その3の数値計画(付加価値額、労働生産性、1人当たり給与支給総額など)が、どんな前提で伸びていくのかを文章で説明します。

5. 実施体制とスケジュール、6. 補足事項

社内で誰が責任者になり、誰が設備の立ち上げや運用を担うかを書きます。設備メーカーや販売会社、システムの開発会社などの社外の協力先も記載します。外部の専門家の支援を受けて事業計画書を作った場合は、支援者の名称、報酬、契約期間を必ず記載します。

スケジュールは、発注、納品、検収、支払、実績報告までを、補助事業実施期間(第9回は交付決定日から14か月以内)に収まるように組みます。補足事項には、ほかの章に入らなかった自社の取り組みや、事業の意義を簡潔にまとめます。

審査で見られる4つの点と数字の作り方

書面審査は、補助対象事業としての適格性、技術面、計画面、政策面の観点で行われます。技術面では、次の4つの観点が評価されます。

観点公募要領での評価のされ方
省力化指数高い取組であり、算出根拠が妥当か
投資回収期間短い取組であり、算出根拠が妥当か
付加価値額年平均成長率が大きく、算出根拠が妥当か
オーダーメイド設備現場に合わせた専用設備か。汎用設備でも、周辺機器や機能の組み合わせで高い効果を出す計画か

省力化指数の計算方法

省力化指数は、業務がどれだけ減るかの割合です。公募要領の計算式は次のとおりです。

省力化指数=(設備導入で削減される業務に要していた時間-設備導入後に発生する業務の時間)÷設備導入で削減される業務に要していた時間

例えば、1日8時間かかっていた検品作業が、導入後は確認と段取りの2時間になる場合、省力化指数は(8-2)÷8=0.75です。時間は、いまの現場で実際に測った値を使います。

投資回収期間の計算方法

投資回収期間は、投資額を、1年あたりに浮く人件費と増える付加価値額で割って計算します。

投資回収期間=投資額÷(削減工数×年間稼働日数×人件費単価+増加した付加価値額)

投資回収期間は、根拠資料とともに提出することが要件になっています。人件費単価や年間稼働日数は、決算書や給与台帳など、自社の実数から置きます。

注意

投資回収期間は、根拠資料とともに出すことが要件です。人件費単価や年間稼働日数を決算書や給与台帳の実数から置いておけば安心です。

会社全体の数字(その3)は基本要件を満たす

その3では、3〜5年の事業計画期間で、次の基本要件を満たす数字を示します。

  • ✓労働生産性を年平均4.0%以上伸ばすこと
  • ✓従業員1人当たりの給与支給総額を年平均3.5%以上増やすこと
  • ✓事業場内の最低賃金を、地域別最低賃金より30円以上高くすること
  • ✓従業員21名以上の場合は、一般事業主行動計画を公表すること

計画面の審査では、設備の導入を待たずに行う「足下の賃上げ」も評価されます。応募申請時の直近決算期から基準年度までの1人当たり給与支給総額の伸びが、物価上昇率を上回る程度に達しない計画は、審査で大幅に不利になると明記されています。

自社の設備が対象になるかは、構成の段階で決まります。気になったらお気軽にご相談ください。

無料で相談する|Taigen株式会社

補助額と投資回収期間の計算例(従業員30名の場合)

省力化投資補助金(一般型)の従業員数別の補助上限額

数字はすべて説明のための例です。従業員30名の会社が、自社の工程に合わせた設備の一式(補助の対象になる経費 3,000万円・税抜)を申請する場合を考えます。21〜50人の補助上限は3,000万円です。

ケース(例)補助の対象になる経費(税抜)補助率補助額
中小企業(従業員30名)3,000万円1/21,500万円
同じ会社で最低賃金引上げ特例に当たる場合3,000万円2/32,000万円
小規模企業者(従業員5名)900万円2/3600万円

同じ会社の投資回収期間を、次の例で計算します。

項目(例)値
投資額3,000万円
削減工数1日4時間
年間稼働日数250日
人件費単価1時間2,500円
浮く人件費(4時間×250日×2,500円)年250万円
増加した付加価値額年750万円
投資回収期間(3,000万円÷1,000万円)3.0年

浮く人件費だけで割ると12年かかりますが、浮いた時間で生む付加価値額を足すと3年になります。3章の「浮いた時間の使い道」が、数字の上でも効いてくることがわかります。

ポイント

浮く人件費だけでなく、浮いた時間で生む付加価値額まで数字にすると、投資回収期間を短く示せます。

申請の流れとスケジュール(第9回)

省力化投資補助金(一般型)の申請の流れ

公式サイトでは、第9回は2026年11月4日に公募が始まり、申請の受付開始は12月上旬、締切は12月下旬の予定と公表されています(2026年11月6日確認)。採択発表は2027年3月下旬の予定(調整中)です。

  1. 任せる作業と設備を決め、いまの作業時間を工程ごとに測る
  2. 直近の決算書から、営業利益・人件費・減価償却費と従業員数を確かめる
  3. 設備メーカーや販売会社と構成を固め、参考見積書やカタログをそろえる
  4. 事業計画書(その1・その2・その3)をまとめる
  5. GビズIDプライムで電子申請する
  6. 採択後、相見積もりをそろえて、採択発表日から2か月後の日までに交付申請をし、交付決定を受けて発注・導入する
  7. 実績報告を経て補助金が支払われ、事業計画期間(3〜5年)は毎年効果を報告する

GビズIDプライムの取得には一定の期間がかかります。事業計画書の作成と並行して、早めに手続きを済ませておくと安心です。

事業計画書で気をつけること

  • 課題・設備・数字をつなげる:1章で測った作業時間が2章のビフォーアフターになり、3章の浮いた時間の使い道を経て、その3の数字につながる。どこかが途切れると、数字の根拠が弱く見えます。
  • 設備の説明だけで終わらせない:設備の性能を詳しく書いても、自社のどの工程がどう変わるかが書かれていなければ評価されません。
  • 人を減らして数字を作らない:主として従業員の解雇を通じて労働生産性などを操作するような事業は対象外です。浮いた人手は、ほかの仕事に回す計画にします。
  • 不要な個人情報を載せない:社長・役員・従業員・顧客の顔写真など、事業内容に直接関係のない個人情報は掲載しないよう求められています。写真は設備や作業の様子が伝わるものを選びます。
  • 数字は効果報告で確かめられる:その3で示した数値は、補助事業が終わったあとも毎年度の効果報告で達成状況を確認されます。届く見込みのある数字で書きます。

事業計画書の書き方でよくある質問

Q. 事業計画書は何ページくらいで書けばよいですか?

公募要領にページ数の決まりはなく、A4サイズで可能な限り簡潔に作るよう求められています。記載の分量で採択を判断するものではないとされているため、6つの章を漏れなく、図表を使って読みやすくまとめることを優先します。

Q. 自社だけで書いてもよいですか?

自社だけで書いて申請できます。認定経営革新等支援機関や専門家の支援を受けた場合は、支援者の名称、報酬、契約期間を事業計画書に必ず記載します。支援を受けているのに記載がないことが分かった場合は、不採択や採択の取消などの対象になります。

Q. 口頭審査はありますか?

ソフトウェア投資やシステム開発など、書面では詳細がわかりにくい案件を中心に、オンラインで30分程度の口頭審査が行われることがあります。対応するのは申請する事業者自身で、事業計画書の作成を支援した人の同席は認められません。計画の中身を自社の言葉で説明できるようにしておきます。

Q. 見積書はいつまでにそろえればよいですか?

申請(応募)のときは、50万円以上の機械装置・システムについて、仕様や積算根拠が分かる参考見積書やカタログなどを出します。採択後の交付申請では、発注先1件あたり50万円(税抜)以上のものは同じ条件で相見積もりを取り、最低価格を提示した者を選ぶのが原則です。申請の段階から、相見積もりを頼める先を考えておくと進めやすくなります。

事業計画書づくりはTaigenに無料で相談できます

省力化投資補助金(一般型)の事業計画書は、設備の説明よりも、いまの作業時間、浮いた時間の使い道、会社全体の数字を1本の話にできるかで決まります。最初に工程と時間を整理しておくと、どの章も書きやすくなります。

Taigen株式会社は、採択158件・支援した補助金の総額28億円以上の実績をもとに、対象になる設備の構成の考え方から、省力化指数や投資回収期間の数字の組み立て、採択後の交付申請・実績報告まで伴走します。第9回に申請するかどうか迷っている段階でも、お気軽にご相談ください。

対象になるか、補助額はいくらになるか。まずは無料でお確かめください。

無料で相談する|Taigen株式会社

他のおすすめ記事