Column
財務のコラム
コラム
省力化投資補助金のカタログ注文型と一般型の違い|どちらを選ぶかの判断基準
省力化投資補助金のカタログ注文型は、国の製品カタログに載っている製品を販売事業者と一緒に申請する制度で、随時受け付けています。一般型は、自社の現場に合わせた設備やシステムを事業計画書で申請する制度で、公募回ごとに締切があります。欲しい製品がカタログにあり、そのまま使えるならカタログ注文型を、現場に合わせた構成や大きな投資なら一般型を選ぶのが基本です。
この記事でわかること
- カタログ注文型と一般型の違いを一覧で比較
- カタログ注文型の特徴(登録された製品を選んで申請)
- 一般型の特徴(現場に合わせた設備やシステムを申請)
- どちらを選ぶかの判断基準(3つの確認)
- 補助額の計算例(同じ会社で比べる)
- 申請の流れとスケジュールの違い
この記事では、カタログ注文型の公募要領(2026年10月20日改訂)と一般型の第8回公募要領をもとに、2つの違いと選び方を順に説明します。
カタログ注文型と一般型の違いを一覧で比較

どちらも中小企業省力化投資補助金の中にある申請の型で、人手不足に悩む中小企業の設備投資を補助する目的は同じです。違うのは、導入できる設備と申請の進め方です。
| 項目 | カタログ注文型 | 一般型 |
|---|---|---|
| 対象 | 製品カタログに登録された製品 | 現場に合わせた設備・システム |
| 補助上限額 | 500万円〜1,000万円(賃上げで最大1,500万円) | 750万円〜8,000万円(賃上げで最大1億円) |
| 補助率 | 1/2以下 | 中小企業1/2(特例2/3)、小規模企業者・小規模事業者・再生事業者2/3 |
| 受付 | 随時(2027年3月末頃まで) | 公募回ごとに締切 |
| 申請 | 販売事業者と共同 | 自社で事業計画書をつくり申請 |
| 補助事業の期間 | 交付決定から原則12か月以内 | 交付決定から17か月以内 |
| 労働生産性の目標 | 年平均3.0%以上 | 年平均4.0%以上 |
一般型の公募要領には、申請を考える前にカタログ注文型の製品カタログを必ず確認するよう書かれています。カタログの製品は国が省力化効果を認めたものであり、カタログ注文型のほうが申請は迅速かつ簡易で、一般型は審査項目が多いためです。
カタログ注文型の特徴(登録された製品を選んで申請)
カタログ注文型は、製品カタログから製品を選び、その製品を扱う販売事業者と共同で申請します。申請の入口は販売事業者からの招待で、省力化効果判定シートは販売事業者が添付します。
カタログには、業種を問わず使える機器だけでなく、製造現場の機器も載っています。例えば、ファイバーレーザー溶接機、AI外観検査用画像処理システム、急速冷却・急速凍結機、飲食料品充填・吐出機などのカテゴリがあります。新しいカテゴリは随時増えており、2026年10月1日にも追加がありました。
補助上限額は従業員数で決まる
| 従業員数 | 補助上限額 | 大幅な賃上げを行う場合 |
|---|---|---|
| 5人以下 | 500万円 | 750万円 |
| 6〜20人 | 750万円 | 1,000万円 |
| 21人以上 | 1,000万円 | 1,500万円 |
大幅な賃上げとは、申請時と比べて事業場内最低賃金を3.0%以上、給与支給総額を6.0%以上増やすことです。どちらも補助事業の終了時点で達成する見込みの計画をつくり、賃金引上げの計画を従業員に表明します。この2つは上限を引き上げるときの条件で、引き上げない場合は計画に入れなくても申請できます。
補助の対象は製品本体と導入経費
補助の対象は、製品本体の価格と、設置・運搬・動作確認などの導入経費です。導入経費は製品本体価格の2割までで、外注費や委託費は対象外です。
製品ごとにも補助額の上限が登録されています。製品の購入価格がその上限の2倍を超えると、補助率は1/2より低くなります。また、1回の申請で複数の種類の製品を申請することはできません。別の種類の製品を入れたいときは、前の申請の補助金の支払いが終わったあと、2回目の申請をする形になります。
申請には人手不足の状態を示す
申請では、次のいずれか1つを選び、人手不足の状態にあることを示します。④を選ぶと審査が厳しくなり、結果の通知が大幅に遅れることがあります。
- 従業員の直近の平均残業時間が30時間を超えている
- 整理解雇によらない離職で、従業員が前年度比5%以上減っている
- 求人を掲載したが、採用が充足しなかった
- その他、省力化を進める必要に迫られている
一般型の特徴(現場に合わせた設備やシステムを申請)
一般型は、作業工程や事業所のレイアウトに合わせた設備やシステムを導入する計画を、事業計画書にまとめて申請します。機械装置・システム構築費(単価50万円以上の機械装置等を1つ以上)が必須で、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費も対象にできます。
上限額は従業員数に応じて5段階あり、最大1億円です。人手のかかる工程をまとめて自動化するような大きな投資は、一般型のほうが合います。
汎用設備も組み方で対象になる
汎用の設備を単体で導入するだけでは、一般型の対象になりません。ただし、次のような組み方であれば、オーダーメイド設備として対象になります。
- 導入する環境に応じて、周辺機器や構成する機器の数、搭載する機能が変わる
- 汎用設備を複数組み合わせて、より高い省力化効果や付加価値を生み出す
カタログに載っている製品でも、この形であれば一般型で申請できます。カタログに登録されたカテゴリの製品を含む計画は、審査でも一部考慮されます。
基本要件はカタログ注文型より多い
一般型では、次の基本要件をすべて満たす3〜5年の事業計画が必要です。
- 労働生産性を年平均4.0%以上伸ばす
- 従業員1人当たりの給与支給総額を年平均3.5%以上増やす
- 事業場内の最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高くする
- 従業員21名以上の場合は、一般事業主行動計画を公表する
給与と最低賃金の要件は、届かなかった場合に補助金の返還を求められることがあります。審査では省力化の効果に加え、投資回収期間の根拠なども見られます。ソフトウェア投資やシステム開発などを中心に、口頭審査が行われることもあります。
自社の設備が対象になるかは、構成の段階で決まります。気になったらお気軽にご相談ください。

どちらを選ぶかの判断基準(3つの確認)
迷ったときは、次の順に確かめると判断しやすくなります。
- 欲しい製品がカタログにあるか:なければ一般型を検討します。製品カタログのカテゴリ一覧と製品検索で確かめます。
- そのままの形で現場に入るか:周辺機器を足す、台数や機能を変える、複数の設備を組み合わせて工程をつなぐ必要があるなら、一般型が合います。
- 投資の大きさは上限に収まるか:補助額が上限を大きく超える投資は、上限の高い一般型のほうが補助額を多く見込めます。
| こんなとき | 合う型 |
|---|---|
| カタログの製品を1種類、そのまま入れたい | カタログ注文型 |
| 公募回の締切を待たずに進めたい | カタログ注文型 |
| 工程に合わせて機器を組み合わせたい | 一般型 |
| システム構築や外注費も含めて計画したい | 一般型 |
| 小規模事業者で補助率2/3を使いたい | 一般型 |
どちらも省力化の効果を説明する必要があります。選ぶ前に、どの作業を減らしたいのかと、今の作業時間を確かめておくと判断が早くなります。
補助額の計算例(同じ会社で比べる)

上の図は一般型の補助上限額です。カタログ注文型の上限額は「カタログ注文型の特徴」の表のとおりです。どちらも、補助の対象になる経費に補助率を掛け、上限額の範囲で補助額が決まります。金額はすべて説明のための例です。
| ケース(例) | 補助の対象になる経費(税抜) | 補助率 | 補助額 |
|---|---|---|---|
| カタログ注文型・従業員30名 | 1,400万円(製品本体1,200万円+導入経費200万円) | 1/2 | 700万円 |
| 一般型・従業員30名 | 3,000万円(工程に合わせた一式) | 1/2 | 1,500万円 |
| カタログ注文型・小規模事業者(従業員5名) | 900万円 | 1/2 | 450万円 |
| 一般型・小規模事業者(従業員5名) | 900万円 | 2/3 | 600万円 |
同じ900万円の投資でも、小規模事業者は一般型のほうが補助額は大きくなります。ただし、一般型は事業計画書の準備と審査があり、公募回の締切に合わせて進めることになります。カタログ注文型は製品ごとの補助上限額もあるので、実際の金額は製品と販売事業者に確かめてください。
どちらの型でも、補助金は設備の導入と支払いを終えたあとに支払われます。設備代はいったん自社で用意します。
申請の流れとスケジュールの違い

上の図は一般型の流れです。第8回は2026年10月16日に締め切られました。公式サイトでは、第9回は2026年11月上旬に公募開始、12月上旬に申請受付開始、12月下旬に締切の予定と公表されています(2026年11月2日確認)。正確な日付は公募開始のときに発表されます。
カタログ注文型は公募回がなく、2027年3月末頃まで随時受け付ける予定です。採択・交付決定は申請から概ね1〜2か月程度とされています。流れは次のとおりです。
- GビズIDプライムのアカウントを取得する
- 製品カタログから製品を選ぶ
- カタログに載っている販売事業者を選び、連絡する
- 販売事業者と共同で事業計画をつくり、申請する
- 交付決定を受けてから発注・導入する
- 実績報告を経て補助金が支払われる
- 補助事業の終了後、3年間は毎年効果を報告する
一般型は、採択のあとに交付申請があります。交付申請の期限は、原則として採択発表日から2か月後です。交付決定から17か月以内(採択発表日から19か月以内)に導入と支払いを終え、事業計画の期間(3〜5年)は毎年効果を報告します。
カタログ注文型と一般型で気をつけること
- 交付決定の前に発注しない:どちらの型でも、交付決定の前に購入した設備は補助の対象になりません。
- 労働生産性の計算が少し違う:カタログ注文型は従業員数で割り、一般型は従業員数に役員の人数を足して割ります。基準になる時点も、カタログ注文型は申請時、一般型は補助事業が完了した日を含む事業年度です。
- 同じ経費を二重に申請しない:国の他の補助金と補助の対象になる経費が重なる事業は、補助の対象外です。
- カタログ注文型の2回目は条件が上がる:2回目以降は労働生産性の目標が年平均4.0%以上になり、前回の省力化効果の報告や、事業場内最低賃金の引上げも必要です。
- 受付期間の予定を確かめる:カタログ注文型の受付は2027年3月末頃までの予定です。導入の時期が先になるなら、公式サイトで最新の案内を確かめてください。
カタログ注文型と一般型でよくある質問
Q. カタログに載っている製品は一般型で申請できませんか?
そのまま導入するだけなら、一般型の対象になりません。導入する環境に応じて周辺機器や機器の数、機能が変わる場合や、汎用設備を複数組み合わせてより高い効果を出す場合に限って、一般型の対象になります。
Q. カタログ注文型は自社だけで申請できますか?
できません。販売事業者と共同で申請します。販売事業者からの招待で申請の手続きに入るため、製品を選んだらまずカタログに載っている販売事業者に連絡します。
Q. カタログ注文型はリースでも使えますか?
ファイナンス・リース取引で導入できます。この場合はリース会社とも共同で申請します。リース料そのものではなく、リース会社が支払う製品本体価格と導入経費が補助の対象です。
Q. カタログ注文型と一般型の両方を使えますか?
同じ設備を両方の補助の対象にすることはできません。別の設備で両方を検討する場合は、申請の時期や経費の重なりによって扱いが変わることがあるので、公募要領と事務局で確かめてください。
カタログ注文型か一般型か迷ったらTaigenに無料で相談できます
どちらの型が合うかは、欲しい製品の名前だけでは決まりません。どの工程の作業を減らし、どの機器をどう組み合わせるかによって、使える型と補助額が変わります。
Taigen株式会社は、採択158件・支援した補助金の総額28億円以上の実績をもとに、一般型で対象になる構成の考え方から、事業計画の組み立て、採択後の交付申請・実績報告まで伴走します。第9回に申請するかどうか迷っている段階でも、お気軽にご相談ください。
対象になるか、補助額はいくらになるか。まずは無料でお確かめください。
