Column

財務のコラム

コラム

溶接ロボットの導入に使える補助金と、対象になる構成の例

結論

溶接ロボットの導入に使える国の補助金は、中小企業省力化投資補助金(一般型)が中心です。ロボット本体だけでは対象外になりやすいため、ポジショナーや治具、センサー、安全柵まで含めた「自社の溶接に合わせた一式」で計画すると対象になります。

この記事でわかること

  • 溶接ロボットの導入に使える補助金は2つ
  • 溶接ロボットの補助金の本命:中小企業省力化投資補助金(一般型)
  • 溶接ロボットが補助対象になる構成の例
  • 溶接ロボットの補助額の計算例(従業員15名の場合)
  • 溶接ロボットの補助金の申請の流れとスケジュール(第9回)
  • 溶接ロボットで補助金を使うときに気をつけること

この記事では、中小企業省力化投資補助金(一般型)の第8回公募要領(2026年9月18日改訂版)と、中小機構の公式サイトの内容をもとに、溶接ロボットで補助金を使うときの条件、対象になる構成の例、補助額の計算例、次の公募(第9回)までの準備を順に説明します。

溶接ロボットの導入に使える補助金は2つ

溶接ロボットの導入に使える国の主な補助金は、「中小企業省力化投資補助金(一般型)」と「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の2つです。

今の溶接作業をロボットに任せて、人の作業時間を減らす計画なら、省力化投資補助金が合います。溶接ロボットを使ってこれまで作っていなかった新しい製品をつくる計画なら、新事業進出・ものづくり補助金が候補になります。

比べる点省力化投資補助金(一般型)新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
向いている投資今の溶接作業をロボットに任せ、人の作業時間を減らす溶接ロボットを使って新しい製品をつくり、新しい市場へ出る
計画の中心減る作業時間と、その時間の使い道新しい製品・サービスと、その売り先
次の公募第9回:2026年11月上旬公募開始、12月下旬締切の予定第1回:2026年10月30日(金)18時締切

溶接ロボットの導入の多くは、熟練の溶接工が足りない、溶接の待ちで出荷が遅れる、といった人手の悩みから始まります。この場合は省力化投資補助金を軸に考えると、計画の筋が通りやすくなります。

溶接ロボットの補助金の本命:中小企業省力化投資補助金(一般型)

中小企業省力化投資補助金(一般型)は、人手不足に悩む中小企業が、現場に合わせた専用の設備を入れて人の作業を減らすための補助金です。

溶接は、同じ動きを正確に繰り返す作業が多く、ロボットに任せやすい工程です。今の溶接にかかる人数と時間を数字で示しやすいのも、この補助金と相性がよい点です。

補助上限と補助率

補助上限は従業員数で決まります。賃上げを大きく行う計画の場合は、カッコ内の「大幅賃上げ特例」の上限を使えます。

従業員数補助上限大幅賃上げ特例の場合
5人以下750万円1,000万円
6〜20人1,500万円2,000万円
21〜50人3,000万円4,000万円
51〜100人5,000万円6,500万円
101人以上8,000万円1億円

補助率は、中小企業が1/2(最低賃金引上げ特例に当たる場合は2/3)、小規模企業者・小規模事業者・再生事業者が2/3です。第5回の公募からは、1,500万円を超える部分の補助率が下がる段階がなくなり、上限まで同じ補助率で計算します。

溶接ロボットを補助対象にする条件

申請には、単価50万円(税抜)以上の機械装置などを1つ以上含めることが必要です。対象になる経費は、機械装置・システム構築費(必須)のほか、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費です。

気をつけたいのは、どこでも同じように使える汎用の設備を1台だけ入れる計画は対象外になる点です。一方で、公募要領には次のように書かれています。

「汎用設備であっても、事業者の導入環境に応じて周辺機器や構成する機器の数、搭載する機能等が変わる場合や、汎用設備を組み合わせて導入することでより高い省力化効果や付加価値を生み出すことが可能である場合には、オーダーメイド設備であるとみなし、本事業の対象となります。」(第8回公募要領)

溶接ロボットは、溶接する製品の形や大きさ、板の厚さ、溶接の数によって、治具やポジショナー、センサーの組み方が変わる設備です。自社の製品に合わせて周辺の機器を組み合わせた一式として計画すると、オーダーメイド設備として対象になります。

申請に必要な基本の条件

  • 労働生産性を年平均4.0%以上伸ばす計画であること
  • 従業員1人当たりの給与支給総額を年平均3.5%以上増やす計画であること
  • 事業場内の最低賃金を、地域別最低賃金より30円以上高くすること
  • 従業員21名以上の場合は、一般事業主行動計画を公表していること

事業計画の期間は3〜5年です。ロボットを入れて終わりではなく、その後の生産性と賃上げまで含めて計画を立てます。

これまでの採択率(申請に対する採択の割合)は、第1回68.5%、第2回60.9%、第3回66.8%、第4回69.3%、第5回61.5%、第6回63.9%です。申請すれば通る制度ではないため、計画の中身が問われます。

溶接ロボットが補助対象になる構成の例

溶接ロボットで補助対象になる構成の例

溶接ロボットで省力化投資補助金を使うときは、「ロボットが溶接する時間」だけでなく、「ワークを置く、外す、向きを変える」といった前後の作業まで一緒に設計します。よくある3つの組み方を紹介します。

例1:アーク溶接ロボット+ポジショナー+専用治具で、中物の溶接を任せる

アーク溶接ロボットに、製品を固定する専用の治具と、製品の向きを変えるポジショナー、安全柵を組み合わせる構成です。架台やフレームのように、溶接する箇所が多く、向きを変えながら溶接する製品に向いています。

溶接工が製品をひっくり返しながら溶接していた時間が減り、溶接工は仕上げや段取り、難しい溶接に時間を回せます。溶接の仕上がりのばらつきが減ることで、手直しの時間も減ります。

例2:2ステーションで、段取りの間も溶接を止めない

ロボットの左右に作業台(ステーション)を2つ置き、片側でロボットが溶接している間に、もう片側で人が次の製品を治具にセットする構成です。回転式の台で入れ替える組み方もあります。

ロボットが溶接を終えるのを人が待つ時間、人が段取りを終えるのをロボットが待つ時間がどちらも減ります。1人で受け持てる製品の数が増えるため、減る作業時間を計画の数字で示しやすい組み方です。

例3:センサーと教示ソフトで、多品種の溶接を任せる

製品の位置のずれを見つけて溶接の位置を直すセンサーと、パソコン上でロボットの動きを作る教示ソフトを組み合わせる構成です。品種が多く、1回に作る数が少ない現場で、ロボットに動きを教える手間を減らします。

ロボットを止めて動きを教え込む時間が減るため、少ない数の製品でもロボットに任せやすくなります。ロボットの制御やソフトの費用は、計画の内容によって機械装置・システム構築費に含められます。

審査では、省力化指数(設備で減る作業時間の割合)、投資回収期間、付加価値額、オーダーメイド設備かどうか、の4つの観点が評価されます。どの構成でも、今の溶接の作業時間を工程ごとに測り、ロボットを入れたあとに残る作業時間と並べて示すことが計画の土台になります。

自社の設備が対象になるかは、構成の段階で決まります。気になったらお気軽にご相談ください。

無料で相談する|Taigen株式会社

溶接ロボットの補助額の計算例(従業員15名の場合)

省力化投資補助金(一般型)の従業員数別の補助上限額

例として、従業員15名の製缶・板金の会社が、アーク溶接ロボットと治具・ポジショナー・安全柵の一式(補助の対象になる経費 1,800万円・税抜)を省力化投資補助金(一般型)で計画した場合を計算します。従業員6〜20人の補助上限は1,500万円です。

ケース(例)補助の対象になる経費(税抜)補助率補助額
中小企業(従業員15名)1,800万円1/2900万円
同じ会社で最低賃金引上げ特例に当たる場合1,800万円2/31,200万円
中小企業(従業員40名)で2ステーションの構成3,600万円1/21,800万円
小規模企業者(従業員5名)1,050万円2/3700万円

1つ目の例では、1,800万円の1/2で補助額は900万円になり、残りの900万円は自社で負担します。補助率をかけた金額が上限を超える場合は、上限の額までになります。

いずれも計算の例です。実際の補助額は、審査を経て採択され、交付決定で認められた経費をもとに決まります。補助金は導入と支払いを終えたあとに支払われるため、設備代はいったん自社で用意します。

溶接ロボットの補助金の申請の流れとスケジュール(第9回)

省力化投資補助金(一般型)の申請の流れ

省力化投資補助金(一般型)の第8回は2026年10月16日に締め切られました。公式サイトでは、第9回は2026年11月上旬に公募開始、12月上旬に申請受付開始、12月下旬に締切の予定と公表されています。

溶接ロボットは、製品に合わせた治具の設計や、試し溶接での確認に時間がかかります。早めにロボットメーカーや設置会社(システムインテグレーター)と構成を詰め始めると、締切に間に合わせやすくなります。

  1. ロボットに任せる溶接の工程と製品を決め、今の作業時間を測る
  2. ロボットメーカーや設置会社と、治具・ポジショナー・センサーまで含めた構成を固める
  3. 見積書をそろえる(2者以上の相見積もりが原則)
  4. GビズIDプライムのアカウントを取る(取得に一定の期間がかかります)
  5. 事業計画書をまとめ、電子申請する
  6. 採択の発表のあと、交付申請をして交付決定を受ける
  7. 交付決定のあとに発注し、ロボットを導入する
  8. 実績報告と現地調査を経て、補助金が支払われる
  9. 事業計画の期間(3〜5年)の間、効果を報告する

補助事業の期間は、交付決定から17か月以内(採択発表から19か月後まで)です。納期の長い設備は、この期間に導入と支払いまで終えられるかを、メーカーと先に確認しておきます。

溶接ロボットで補助金を使うときに気をつけること

  • 発注は交付決定のあと:対象になる経費は、交付決定を受けた日付以降に契約(発注)し、補助事業の期間内に支払いを終えたものに限られます。
  • 見積は早めに複数社から:相見積もりで最も安い金額を出した会社を選ぶのが原則です。ほかの会社を選ぶ場合は、理由書と価格の妥当性を示す書類が要ります。
  • 治具や教示の費用も見積に分けて書く:システム構築費は、積算の根拠がわかる見積書と仕様書が必要で、「一式」だけの見積は認められません。
  • 設備は新品で計画する:中古品の購入費は補助の対象外です。
  • 計画は自社のものとしてつくる:公募要領は、事業計画を申請者自身で作成することを求めています。外部の支援を受けながらも、数字と中身は自社で説明できる形にします。

溶接ロボットの補助金でよくある質問

Q. 溶接ロボット本体だけを買う場合も補助金は使えますか?

ロボット本体だけを入れる計画では、汎用の設備の単体導入として対象外になりやすくなります。自社の製品に合わせた治具やポジショナー、センサー、安全柵などを組み合わせた一式の構成にすると対象になります。

Q. 溶接電源やトーチなどの周辺の機器も対象になりますか?

溶接ロボットを動かすために一緒に組み込む機器は、計画の内容によって一式の設備に含められます。どこまでを含めるかは、見積書と仕様書で内訳を分けて示します。

Q. 今の手作業の溶接工はどうなりますか?

この補助金は人を減らすことではなく、人手不足の中で作業時間を減らすことを目的にしています。ロボットに任せて空いた時間を、仕上げや検査、難しい溶接、受注の増加などに回す計画にすると、事業計画の筋が通ります。

Q. 中古の溶接ロボットは対象になりますか?

省力化投資補助金では、中古品の購入費は補助の対象外です。新品の設備で計画します。

溶接ロボットの補助金はTaigenに無料で相談できます

溶接ロボットの補助金は、ロボットの台数よりも「どの溶接の作業が何時間減り、その時間を何に使うか」の示し方で計画の説得力が変わります。溶接している製品と今の人の配置を伺えれば、対象になる構成と補助額の目安を一緒に整理します。

Taigen株式会社は、採択158件・支援した補助金の総額28億円以上の実績をもとに、対象になる構成の考え方から、事業計画書づくり、採択後の交付申請・実績報告まで伴走します。第9回の公募に向けた準備は、11月中に始めるのがおすすめです。産業用ロボットの補助金のご案内ページから、無料でご相談いただけます。

対象になるか、補助額はいくらになるか。まずは無料でお確かめください。

無料で相談する|Taigen株式会社

他のおすすめ記事