Column

財務のコラム

コラム

排水処理設備・ろ過装置の更新に使える補助金

排水処理設備の更新に使える補助金は「省力化投資補助金(一般型)」が中心

排水処理設備やろ過装置、汚泥の脱水機の更新に使いやすい国の補助金は、中小企業省力化投資補助金(一般型)です。水質の監視や薬品の注入、汚泥の後処理を自動にし、人の作業時間を減らす構成にすると対象になります。

条件は、単価50万円(税抜)以上の機械装置等を1つ以上入れることと、現場に合わせて組んだ構成にすることです。

排水処理で人の作業が残りやすいところ

排水処理の設備は、工場が動いている間ずっと止められない設備です。水質の見回り、薬品の量の調整、ろ過装置の洗浄、汚泥の運び出しなど、毎日の手間がかかります。

夜間や休日にも見回りが必要で、担当の人がいないと困る、という声もよく伺います。こうした作業を機械やシステムで減らす投資は、省力化投資補助金の考え方に合っています。

ただし、古い設備を同じ仕組みの新しい設備に替えるだけでは、人の作業はあまり変わりません。更新のときに何を自動にするかを決めることが、申請の出発点になります。

ろ過・排水処理設備に使える補助金

中小企業省力化投資補助金(一般型):人の作業を減らす投資に

今の仕事の工程で、人の作業を減らす投資に合う補助金です。排水処理の現場では次のような投資が考えやすい内容です。

  • 水質の自動監視と薬品の自動注入を組み合わせ、見回りや手作業での調整を減らす
  • 汚泥の脱水・搬出の装置まで含め、後処理の作業時間をまとめて減らす
  • 遠隔で状態を確かめられるようにし、夜間や休日の見回りの負担を減らす
従業員数 補助上限額 大幅賃上げ特例の場合
5人以下 750万円 1,000万円
6〜20人 1,500万円 2,000万円
21〜50人 3,000万円 4,000万円
51〜100人 5,000万円 6,500万円
101人以上 8,000万円 1億円
項目 内容
補助率 中小企業 1/2(最低賃金引上げ特例で2/3)/小規模企業者・小規模事業者・再生事業者 2/3
必須の経費 機械装置・システム構築費。単価50万円(税抜)以上の機械装置等を1つ以上
ほかに対象になる経費 運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費
基本要件 労働生産性 年平均+4.0%以上/1人当たり給与支給総額 年平均+3.5%以上/事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上/従業員21名以上は一般事業主行動計画の公表
事業計画期間 3〜5年
補助事業期間 交付決定から17か月以内(採択発表から19か月後まで)

公募要領では「単に汎用設備を単体で導入する事業については、本事業の対象とはなりません」とされています。一方で、導入環境に合わせて周辺機器や構成する機器・機能が変わる場合や、汎用設備を組み合わせてより高い省力化効果を出す場合は、オーダーメイド設備とみなされて対象になります。

出典:中小企業省力化投資補助金(一般型)事務局、第8回公募要領

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金が合う場合

排水処理設備は、多くの場合いまの工場を動かすための設備です。そのため、新しい製品の開発や新しい市場への進出を条件とする新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、合わないことが多いです。

新しい製品をつくる工場や新しい事業を立ち上げ、そのために排水処理設備も必要になる場合は、事業全体の計画の中で検討できることがあります。

項目 革新的新製品・サービス枠 新事業進出枠
補助上限額 750万円〜2,500万円(従業員数による。特例で最大3,500万円) 2,500万円〜7,000万円(従業員数による。特例で最大9,000万円)
補助下限額 100万円 750万円
補助率 中小企業 1/2(特例で2/3)/小規模企業・小規模事業者 2/3 中小企業 1/2(特例で2/3)
向いている投資 新しい製品・サービスを開発するための設備やシステム これまでと違うお客さまの市場に進出するための設備やシステム

公式サイトには「単に機械装置・システム等を導入するにとどまり、新製品・新サービスの開発を伴わないものは補助対象事業に該当しません」と書かれています。

出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公式サイト

排水処理設備で補助金の対象になる構成の例

ろ過装置やポンプ、脱水機は汎用の機械も多く、1台だけ入れ替える計画は対象外になりがちです。次のように、自社の排水と工程に合わせて組み合わせると、オーダーメイド設備として計画を立てられます。

例1:監視と薬品の注入を自動にする

水質を人が測り、その結果を見て薬品の量を手で調整している場合、毎日決まった時間に人が付く必要があります。

水質を測る機器と薬品の自動注入の装置を組み合わせると、見回りと手作業での調整を減らす構成になります。

例2:汚泥の脱水・搬出まで含める

排水処理では、汚泥を集めて脱水し、運び出す作業にも時間がかかります。

処理の装置と一緒に脱水機や搬出の装置を入れると、後処理の作業時間をまとめて減らす計画になります。

例3:遠隔で状態を確かめられるようにする

夜間や休日に設備の様子を見に行く必要があると、担当の人の負担が大きくなります。

異常を知らせる仕組みや、離れた場所から状態を確かめる仕組みを組み合わせると、見回りの回数を減らす構成になります。

計画書の中心になる「減る作業時間」の考え方

省力化投資補助金の計画書では、排水処理設備を入れる前と後で、人の作業時間がどれだけ変わるかを数字で示します。工程ごとに、今かかっている人数と時間を書き出すところから始めます。

工程(例) 今 導入後 減る時間(1日あたり)
水質の見回り・測定 1人×2時間 1人×0.5時間 1.5時間
薬品の調整・補充 1人×1.5時間 1人×0.3時間 1.2時間
汚泥の脱水・運び出し 2人×2時間 1人×1時間 3時間

表は考え方を示すための例です。実際には、自社の現場で測った人数と時間をもとに計算します。

排水処理では、見回りの記録や点検表が、今の作業時間を示す材料になります。夜間や休日の見回りも忘れずに数えます。

減った時間を、より付加価値の高い仕事に回し、労働生産性を年平均4.0%以上、1人当たり給与支給総額を年平均3.5%以上伸ばす計画につなげることが基本要件です。

排水処理設備の補助額の計算例

省力化投資補助金(一般型)では、補助の対象になる経費(税抜)に補助率をかけた額が、従業員数ごとの補助上限額までもらえます。以下は計算の例です。

例 従業員数 補助の対象になる経費(税抜) 補助上限額 補助率 補助額
例A 30名 2,000万円 3,000万円 1/2 1,000万円
例B 30名 7,000万円 3,000万円 1/2 3,000万円(上限で止まる)
例C 80名 6,000万円 5,000万円 1/2 3,000万円

中小企業の補助率1/2で計算した例です。小規模企業者・小規模事業者・再生事業者に当たる場合は、補助率が2/3になります。

例Bのように、対象経費の半分が上限額を超える場合は、上限額までになります。大幅賃上げ特例を使えば、従業員21〜50人の上限は4,000万円に上がります。

表はあくまで計算の例です。実際の補助額は、審査や交付申請で認められた経費で決まり、採択を約束するものではありません。

申請の流れと第9回のスケジュール

  1. 構成と見積をそろえる:どの作業を減らすのかを決め、監視・薬品注入・脱水などの装置まで含めた構成で見積書をそろえます。
  2. 事業計画書をつくり、電子申請する:人の作業時間がどれだけ減るか、賃上げをどう進めるかを数字で書きます。
  3. 採択の発表:審査を経て、補助金を受け取れる候補として選ばれます。
  4. 交付申請・交付決定:見積書などを出し、補助の対象になる経費が確定します。
  5. 発注・導入・支払い:交付決定のあとに発注します。交付決定から17か月以内に導入と支払いを終えます。
  6. 実績報告・現地調査・入金:導入した設備と証拠書類を確認してもらい、補助金額が確定したあとに入金されます。
補助金 公募の状況(2026年10月23日時点)
省力化投資補助金(一般型) 第8回は2026年10月16日に締め切り済み。第9回は2026年11月上旬に公募開始、12月下旬に締め切りの予定と公表されています
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回の申請受付は2026年10月30日(金)18時締め切り

第9回の締め切りは12月下旬の予定です。排水処理設備は、今の設備を止めずに入れ替える段取りも必要になるため、年内に申請したい場合は早めに構成を決めておくと安心です。

省力化投資補助金(一般型)の採択率(申請した事業者のうち採択された割合)は、第1回68.5%、第2回60.9%、第3回66.8%、第4回69.3%、第5回61.5%、第6回63.9%です。申請すれば通る補助金ではないため、計画書の中身で差がつきます。

排水処理設備の申請で気をつけたいこと

発注は交付決定のあと

公募要領では、対象経費は「交付決定を受けた日付以降に契約(発注)等を行い、補助事業実施期間内に支払いを完了したものに限ります」とされています。先に発注した設備は補助の対象になりません。

水槽や基礎の工事は対象外

排水処理設備の更新では、水槽や基礎、配管の工事が一緒に出ることがよくあります。公募要領では、不動産(土地・建物・構築物)の取得費用や、設置場所の整備工事・基礎工事の費用は対象外です。

見積書では、装置の費用と工事の費用を分けておきます。中古品の購入費も対象外です。

人の作業が減ることを数字で示す

排水処理設備の更新は、古くなった設備を替える目的になりやすい投資です。省力化投資補助金では、見回りや調整の作業時間がどれだけ減るかを、計画書で数字にして示すことが中心になります。

よくある質問

排水処理装置の更新でも使えますか?

使えます。自動監視や薬品注入の自動化と組み合わせて、人の作業時間を減らす構成にすると対象になります。

ろ過機や脱水機も対象になりますか?

人の作業を減らす構成になっていれば対象になります。ろ過機や脱水機を1台だけ替える計画より、監視や搬出の装置と組み合わせると計画を立てやすくなります。

水槽や配管の工事も補助の対象になりますか?

省力化投資補助金では、建物・構築物の取得費用や、設置場所の整備工事・基礎工事の費用は対象外です。見積書で装置の費用と工事の費用を分けておきます。

まずは使えるかどうかの確認から

排水処理設備の補助金は、更新に合わせて見回りや調整をどこまで自動にするかで、対象になるかどうかが決まります。

Taigen株式会社は、採択160件以上・支援した補助金の総額30億円以上の実績をもとに、構成の組み立てから事業計画書づくり、採択後の交付申請・実績報告まで伴走しています。

設備の内容と金額を伺えば、どの補助金が合うか、補助額はいくらになりそうかを無料でお伝えします。詳しくは設備別のご案内ページをご覧ください。

無料で相談する

他のおすすめ記事