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戦後80年と『失敗の本質』から考える私たちの未来

こんにちは!みなさんは、『失敗の本質』という本をご存じでしょうか? 経営学の名著として知られ、100万部以上も売れている大ベストセラーなんです。

実は先日、終戦記念日を迎え、今年は戦後80年だというニュースを見て、ふと本棚からこの本を引っ張り出してみました。読み返してみると、改めて深い洞察に満ちた素晴らしい本だと感じました。

この本は「日本はなぜ戦争に敗れたのか?」という問いを、社会科学的(組織論的)な視点から分析したものです。日本軍の組織的な失敗を徹底的に解明しており、その内容は現代の私たちにも多くの示唆を与えてくれます。

太平洋戦争から学ぶ、組織の共通した失敗要因

『失敗の本質』とは

太平洋戦争における日本軍の作戦事例を詳細に分析し、そこから共通する失敗の本質を導き出しています。

失敗の本質として挙げられる3つの共通点

この本が指摘する、日本軍の敗戦に共通する主な要因は以下の3つです。

  1. 曖昧な戦略目的:
  2. 空気の支配(忖度)
  3. 狭い戦略オプション 過去の成功体験や精神論先行で、新しい技術革新を取り入れない

読みながら「ああ、これは今の社会にも当てはまるな…」と、思わずゾクッとしてしまいました。特に「空気の支配」は、日本社会の根深い問題かもしれませんね。

現代にも通じる、組織と個人の課題

この本が出版されたのは1984年、今からもう40年以上も前です。しかし、そこで提言されている内容は、驚くほど現代の日本が抱える課題と重なっています。

失敗を繰りかえさないための3つの提言

『失敗の本質』が示す、今日の私たちへの教訓は以下の通りです。

  1. 概念から世界に対するものの見方をつくりだそう: 日本軍は、陸・海・空の機能を一元的に管理する統合参謀本部を持たず、共通の価値観を形成できなかった、アメリカはできてた、という指摘。
  2. 権限の分化しつつもと強力に統合しよう: 日本軍は、陸・海・空の機能を一元的に管理する統合参謀本部を持たず、共通の価値観を形成できなかった、アメリカはできてた、という指摘。
  3. 評価基準は明確にしておいて、トップから抜擢・降格人事をやろう: 日本軍も創設75年経っており長老体制ができあがっていた。日本の現地軍は、責任多く権限なしとも言われていた、という指摘。

この提言を読むと、「我が国は、これらの指摘が改善されているどころか、さらに深刻になっているような気がする…」と、正直なところ、考えさせられてしまいます。

『失敗の本質』を読んで、自分自身を振り返る

「我が国は…」なんて大げさなことを言う前に、まずは私自身はどうだろう?と、自問自答してみました。

  • 新しい概念を生み出せているか?
  • 権限の分化と統合はできているか?
  • 人事評価は明確にできているか?

…うーん、考えれば考えさせられます。この本は、単に歴史を学ぶだけでなく、自分自身の生き方や仕事のあり方を見つめ直すきっかけをくれます。

先人への感謝を胸に、未来へ

『失敗の本質』の「はしがき」には、こんな一文が綴られています。

我々は、本書を無謀な戦争で、傷つき、斃れ、戦後の平和と繁栄の礎となった人々に捧げることにする。

この一文を読むと、胸が熱くなります。私たちが享受している平和と豊かな暮らしは、決して当たり前のものではありません。

この本を世に残してくださった著者の方々、そして戦時中を生き抜いてくださったご先祖様。その命と智慧に、心から感謝の気持ちでいっぱいです。この感謝を忘れず、日々を大切に生きていきたいと、改めて強く決意しました。

最後に、本書を手に取ってみてはいかがでしょうか? きっと、現代を生きる私たちのヒントになるはずです。

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この記事を書いた人

上野 翼

上野 翼

1981年生まれ 鹿児島県出身。新卒でPanasonic、SHARPでエンジニアとして研究開発職に従事。その後、TOMAコンサルタンツグループに入社し、2014年年間MVP、コンサル部の部長を務める。その後、Taigen株式会社を設立。経営全般にわたる幅広い知識を持ち、単なる数値分析やアドバイスに終わらず、実際の行動に落とし込んで結果につなげるサポートが高く評価されている。専門分野は、経営戦略・実行マネジメント・財務改善。オープンマインドで、一人ひとりの意見や考えを尊重し、気軽しやすい雰囲気づくりも心がけている。意外にもロック系バンド好き。