コラム

【最大3億円】ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業を徹底解説!

「高いコストがかかるため、ゼロエミッション東京に参画できない。」
「どのような環境改善を目的として、補助金を活用している企業がある?」

「ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業」に関する疑問を抱えている方も多いでしょう。

東京都では「ゼロエミッション東京」と呼ばれる脱炭素化の動きが、多くの企業で進められています

しかし環境改善に多大なコストがかかるため、ゼロエミッション東京に向けた動きが取れていない企業も多いです。

東京都ではゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業の補助金制度が実施されており、資金調達すれば環境改善に向けた取り組みが進めやすくなります。

本記事ではゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業の詳細を解説します。

補助金制度を活用して環境改善を進めた企業の事例もまとめているので、ぜひ参考にしてください。

本記事でわかること

  • ゼロエミッション東京は、人間の活動による排出物を限りなくゼロに近づける東京都の取り組み。
  • ゼロエミッション東京への取り組みを進める目的で、最大3億円の補助金が受け取れる。
  • ZEVトラックや内視鏡外科手術支援AIシステムの普及などで、補助金制度が活用されている。

「ゼロエミッション東京」とは?温室効果ガス排出量を削減する計画的戦略

「ゼロエミッション東京」とは、東京都が実施する温室効果ガス排出量を削減する計画的戦略です。

ゼロエミッションは人から生まれる排出物を、限りなくゼロに近づける取り組みを意味しており、東京都は2050年までにゼロエミッションの実現を目指しています。

脱炭素社会の実現に必要

東京都では「脱炭素化」で、ゼロエミッションを推進しています。

脱炭素化の実現には、「再生可能エネルギーの活用」と「省エネルギー技術の開発・普及」が必要です。

たとえば太陽光や風力などを、再生可能エネルギーとして活用したり、自動車を電気化して省エネルギー化を進めたりしています。

脱炭素社会を目指すために新しい技術を導入すると多大なコストがかかるため、赤字会計の企業や小規模事業者などで、ゼロエミッションに取り組めていない企業が多いです。

ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業で最大3億円受取可能

ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業で最大3億円受取可能

出典:東京都庁

ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業は、東京都の企業を対象に、ゼロエミッションに向けた取り組みの経費の一部を補助する制度です。

都内のベンチャー企業や中小企業などが、経営資源の豊富な事業会社等とのオープンイノベーションによるゼロエミッションを促進する目的で実施しています。

オープンイノベーションとは、他の事業者と連携し、革新的な製品・サービスを開発して新規の事業化を目指す経営戦略です。
経営資源が豊富な事業会社等から、「総事業費の1/4以上の出資」あるいは「販路・人材などの提供」を受けてから、オープンイノベーションが進められます。

ゼロエミッションの目的・技術開発の状況などを基に、「ゼロエミッション枠」と「大学発ベンチャー・一般枠」の2つの枠組みに分けられています。

補助金制度の内容ゼロエミッション枠大学発ベンチャー・一般枠
年度毎の
補助金限度額
3億円
(初年度は4億円)
1.5億円
補助率最大2/3最大1/2
補助対象経費原材料・副資材費
外注・委託費
直接人件費
など
原材料・副資材費
外注・委託費
直接人件費
など
補助対象テーマ再生可能エネルギーの基幹エネルギー化
水素エネルギーの普及拡大
ゼロエミッションビルの拡大
など
革新的な製品・サービス等
対象要件都内で事業を営む予定があるか
対象のプロジェクトを組成しているか
都内で事業を営む予定があるか
対象のプロジェクトを組成しているか
支援期間最長3年最長2年

枠組み次第で補助金限度額や、補助対象テーマなどが異なります。

それぞれの要件を確認して自社に適した枠組みの申請手続きを進めましょう。

年度毎の補助金限度額は最大3億円

年度毎の補助金限度額は最大3億円

ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業の年度毎の補助金限度額は、最大3億円です。

年度毎の補助金限度額

  • ゼロエミッション枠:3億円(初年度は4億円)
  • 大学発ベンチャー・一般枠:1.5億円

ゼロエミッション枠であれば、3億円まで補助可能です。

ただし補助金制度が採択された場合は、初年度に限り4億円まで補助金が受け取れます。

一方で大学発ベンチャー・一般枠は、1.5億円まで受け取れ、小規模事業者であればゼロエミッションに向けた大規模投資ができます。

補助率は最大2/3

ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業の補助率は、最大2/3です。

補助率

  • ゼロエミッション枠:最大2/3
  • 大学発ベンチャー・一般枠:最大1/2

大学発ベンチャー・一般枠は最大1/2で、ゼロエミッション枠は経費に対して多くの金額が補助できます。

たとえば対象経費を1.2億円使った場合、ゼロエミッション枠は8,000万円、大学発ベンチャー・一般枠は6,000万円が補助されます。

補助対象経費は原材料・副資材費など

ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業の補助対象経費として、原材料・副資材費などが指定されています。

補助対象経費

  • 原材料・副資材費
  • 外注・委託費
  • 直接人件費
  • 不動産賃借料・光熱水費
  • 設備導入費
  • 産業財産権出願費
  • 展示会等参加費
  • イベント開催費
  • 広報ツール製作費
  • 広告掲載費

補助対象経費は、ゼロエミッション枠と大学発ベンチャー・一般枠のどちらも同じです。

対象テーマに沿った製品開発に必要な原材料や、高いスキルを持つ業者への外注費などにかかる経費の一部が補助できます。

補助対象経費のうち対象テーマに該当する技術が補助可能

補助対象経費のうち対象テーマに該当する技術が補助可能

ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業の対象経費のうち、対象テーマに該当する支出が補助できます。

ゼロエミッション枠だと、「ゼロエミッション東京戦略に資する技術開発」が対象テーマに定められています。

ゼロエミッション東京戦略に資する技術開発

  • 再生可能エネルギーの基幹エネルギー化
  • 水素エネルギーの普及拡大
  • ゼロエミッションビルの拡大
  • ゼロエミッションビークルの普及促進
  • 3R(「Reduce(リデュース)」、「Reuse(リユース)」、「Recycle(リサイクル)」)の推進
  • プラスチック対策
  • 食品ロス対策
  • フロン対策
  • 適応策の強化

再生可能エネルギーの基幹エネルギー化や、水素エネルギーの普及拡大などの9つの技術開発に該当する経費のみが、負担軽減可能です。

一方で大学発ベンチャー・一般枠だと、「革新的な製品等に関する技術開発」が対象テーマに定められています。

革新的な製品等に関する技術開発

  • 人工知能(AI)
  • ロボティクス
  • 情報通信(ICT、IoT)
  • 交通・モビリティ
  • フィンテック
  • 農業
  • セーフティ
  • ヘルスケア・ライフサイエンス
  • 素材・ナノテクノロジー
  • ものづくり
  • 航空宇宙

など

人工知能(AI)やロボティクスなどの革新的な技術開発に該当するテーマであれば、分野を問わず経費が補助できます。

自社の場合どこまで経費が軽減できるか詳しく知りたい方は、「ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業」事務局までお問い合わせください。

「ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業」事務局
TEL:03-6896-1624
Email:info@zeroemiinnovation.tokyo

対象者は要件を満たす都内のベンチャー企業・中小企業

ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業の対象者として、企業形態や事業期間・登記情報などの3つの要件が指定されています。

対象者の要件

  • 都内のベンチャー企業・中小企業であること
  • 令和5年6月1日時点で、事業期間・登記情報のいずれかの要件を満たしていること
    • 「1年以上事業を営んでいる者」かつ「東京都内に登記簿上の本店または支店があること」
    • 「都内で創業し、引き続く事業期間が1年に満たない者」
  • オープンイノベーションのいずれかの要件を満たしていること
    • 経営資源が豊富な事業会社等から、総事業費の1/4以上の出資を受けていること
    • 経営資源が豊富な事業会社等から、販路・人材などの提供を受けていること

対象者の要件は、ゼロエミッション枠と大学発ベンチャー・一般枠のどちらも同じです。

都内の小規模事業者で、事業期間・登記情報やオープンイノベーションの所定の要件を満たしていると、補助金制度が申請できます。

支援期間は最長3年

支援期間は最長3年

ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業の支援期間は、最長3年です。

補助金制度の支援期間(令和6年度)

  • ゼロエミッション枠:令和7年4月1日から最長3年
  • 大学発ベンチャー・一般枠:令和7年4月1日から最長2年

補助金制度に採択されたら、ゼロエミッション枠だと3年、大学発ベンチャー・一般枠だと2年まで支援が受けられます。

補助金制度の採択率を高めるために、ゼロエミッション東京の動向を定期的に確認し、今から申請手続きの準備を進めましょう。

ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業の令和6年度の申請受付は、2024年11月頃に終了しています。
ただしゼロエミッション東京の取り組みは、2050年まで継続して進められる予定です。
令和6年度の申請スケジュールを踏まえると、2025年6月頃に令和7年度の新規受付が始まる可能性が高いです。

ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業申請の5つの手順

ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業申請の5つの手順

ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業の応募から採択までの流れを解説します。

募集要項を確認して事前説明会に参加する

まずは募集要項を確認し、全体説明会に参加します。

全体説明会は対面とZoomでのオンライン配信から選べ、各回の申込フォームに必要事項を記入して提出すると、申し込みが完了します。

申請書類を作成する

次に申請書類を作成します。

申請書類の様式が公式サイトにまとめられているため、ダウンロードして申請書類を作成しましょう。

申請書類を提出して審査を実施する

申請書類が作成できたら提出し、審査を受けます。

申請書類の提出時には、面談にて申請書類の内容を確認する「申請受付」が実施されます。

申請受付も都合のよい時間帯に、事前に予約しましょう。

採択が通知される

審査に通過したら、通知が届きます。

補助事業者が決まるのは4月頃で、審査から通知が届くまでに約半年の時間がかかります。

事業を実施して経過を報告する

採択が決まったら、事業実施期間中は年度ごとに遂行状況や経費などを報告します。

採択が決まっても、補助金はすぐには支給されません。

報告内容を基に補助金額が決まってから支給されるため、先に経費を自社で負担する必要があります。

ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業の活用事例

ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業で、採択を受けた企業の事例を2つ紹介します。

ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業の活用事例

ゼロエミッション枠:LocationMind株式会社

ゼロエミッション枠:LocationMind株式会社

出典:ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業

ゼロエミッション枠で採択された企業は、物流分野でAI事業を展開するLocationMind株式会社です。

ZEVトラックと呼ばれる電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)などの排出ガスを出さないトラックの普及には、DX化での分析負荷の合理化が必要です。

LocationMind株式会社はゼロエミッション枠を活用し、ZEVトラック普及向けの次世代GPS受信機システムを開発を進めています。

大学発ベンチャー・一般枠:アナウト株式会社

大学発ベンチャー・一般枠:アナウト株式会社

出典:ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業

大学発ベンチャー・一般枠で採択された企業は、外科医療のテクノロジー開発を進めるアナウト株式会社です。

アナウト株式会社は手術中に外科医の目に映るものを自動解析して、リアルタイムに処置する臓器を表示する内視鏡手術支援AIシステムの改良・普及を進めていました。

アナウト株式会社は大学発ベンチャー・一般枠の補助金を活用し、手術支援AIシステムの精度の向上や販売促進のサポートを受けています。

まとめ

本記事ではゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業の詳細をまとめました。

本記事のまとめ

  • ゼロエミッション東京は、人間の活動による排出物を限りなくゼロに近づける東京都の取り組み。
  • ゼロエミッションを意識したオープンイノベーションを目指す小規模事業者は、補助金制度で最大3億円受け取れる。
  • LocationMind株式会社がZEVトラック普及、アナウト株式会社が内視鏡外科手術支援AIシステムの改良・普及で採択されている。

ゼロエミッション東京に関する補助金制度を活用すると、環境改善を意識したオープンイノベーションを目指す小規模事業者が、金銭面の負担を抑えて事業展開を進められます。

小規模事業者でも最大3億円の対象経費を削減でき、他の環境改善目的の補助金制度よりも多くの金額を負担してもらえます。

都内の環境改善を意識した事業展開を進めたい方は、ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業を活用しましょう。

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