コラム

東京都の事業者が展示会に仕える補助金4選

展示会出展は、中小企業にとって重要なマーケティング戦略です。本記事では、東京都の事業者が活用できる展示会出展補助金の詳細と、その魅力的なメリットについて解説します。

展示会出展のメリット5つ

展示会に出展すれば、企業は多くの戦略的メリットが得られます。具体的なメリットは以下の5つです。

Success
  1. 競合分析の機会が得られる
  2. 業界内での知名度向上が期待できる
  3. 製品開発のヒントが得られる
  4. 宣伝の機会が得られる
  5. 国際的なビジネス機会の創出ができる

以上の5つです。詳しく解説します。

1. 競合分析の機会が得られる

展示会は、同業他社の製品やサービスを直接調査できる貴重な機会です。競合企業のブースでは、最新の技術動向や市場戦略を把握し、自社の位置づけを再評価できます。自社の現状把握ができれば、必要な製品やサービスの差別化ポイントが明確になり、競争力強化につながります。

2. 業界内での知名度向上が期待できる

定期的に展示会へ出展すれば、業界内での自社の知名度が高まります。大手企業と同じ舞台で製品を展示できるため、中小企業にとっては業界内での認知度と信頼性を向上させる絶好の機会です。長期的な視点で見ると、ブランド価値の向上が期待でき、自社の成長に役立ちます。

3. 製品開発のヒントが得られる

展示会は、最新の技術や製品トレンドを確認できる場でもあります。他社の革新的な製品や来場者からの直接的なフィードバックは、自社の製品開発に必要な新たなヒントを与えてくれます。得られたヒントから、市場ニーズに合った製品開発や既存製品の改良点が明確になり、イノベーションを促進する効果があります。

4. 宣伝の機会が得られる

Web広告や新聞広告など、通常では得られない信頼性の高い宣伝機会となり、展示会は企業や製品の認知度を向上させる機会です。大規模な展示会では、業界メディアや一般メディアが取材に訪れるケースがあります。革新的な製品や独自のアプローチを持つ企業は、メディアの注目を集め、記事や報道で取り上げられる可能性もあります。

5. 国際的なビジネス機会の創出ができる

大規模な国際展示会では、海外からの来場者や出展者と接触する機会が増えます。接触機会の増加は、出展企業にとって国際的なビジネスパートナーシップの構築や、新たな海外市場への進出のチャンスです。なかでも、グローバル展開を検討中の企業には、展示会出展が国際化戦略の貴重な機会といえます。

東京都の事業者が活用できる展示会出展補助金

東京都では、中小企業の展示会出展を支援するさまざまな補助金制度を設けています。企業の成長と市場開拓に役立つ補助金の活用は、今まで出店したことがない企業にとっても出展のハードルを下げられます。

主に、東京都内に本支店がある(登記している)中小企業者を対象としており、決算期の売上高が1期前と比較して減少している、または損失を埋めていることなどの要件を満たせば申請できる点が特徴です。

展示会出展助成事業

助成限度額150万円
助成率助成対象経費の3分の2以内
対象経費・展示会参加費(出展小間料、オンライン出展料、資材費、輸送費)
・ECサイト出店初期登録費(初期登録料)
・販売促進費(印刷物制作費、動画制作費、広告掲載費、自社サイト制作費)
助成対象期間交付決定日から1年1カ月

展示会出展助成事業は、東京都内の中小企業が国内外の展示会に出展する際の経費を助成する制度です。

助成額は、1社あたり上限150万円です。補助率は、対象経費の2分の1以内となっています。ただし、海外展示会の場合は、渡航費・宿泊費のみ3分の2以内の補助率が適用されます。

対象経費には、小間料、小間装飾費、輸送費、通訳費用などが含まれます。海外展示会の場合は、渡航費や宿泊費も対象です。ただし、飲食費や土産代などの個人的経費は対象外です。

例えばこんなとき

A社が、東京ビッグサイトで開催される国際環境展に初めて出展する場合、150万円を上限に出展料や装飾費、広報資料の制作費などの2/3が申請できます。

申請期間は年度によって異なりますが、通常は前年度の2月頃から受付が開始されます。申請から交付決定までの流れは以下のとおりです。

市場開拓助成事業

助成限度額300万円
助成率2分の1以内
対象経費【経費区分:展示会等参加費】
出展小間料、資材費、輸送費、通訳費(海外展示会のみ)、オンライン出展基本料
【経費区分:販売促進費】
EC出店初期登録料、自社サイト制作・改修費、印刷物制作費、動画制作費、広告費

市場開拓助成事業は、中小企業の新たな市場開拓を支援する制度です。本事業の特徴は、展示会出展だけでなく、新商品・新サービスの開発から販路開拓までを一貫して支援することです。企業の成長段階に応じた柔軟な支援ができます。

対象となるのは、概ね5年以内に開発された新商品・新サービス、または今後開発予定の商品・サービスです。既存製品の改良版も対象となる場合があります。

例えばこんなとき

A社が、展示会出展に加えて海外向けの製品カタログを多言語で制作し、ウェブサイトもリニューアルする場合、300万円を上限にこれらの費用の1/2について申請が可能です。

補助額は最大1,000万円で、補助率は対象経費の2分の1以内です。申請方法は、東京都中小企業振興公社のウェブサイトから必要書類をダウンロードし、必要事項を記入の上、提出します。

小規模事業者持続化補助金

補助限度額通常枠:50万円・特別枠:200万円
(インボイス特例により50万円の上乗せあり)
補助率3分の2
(賃金引上げ枠のうち赤字事業者は4分の3)
対象経費販路開拓のための、チラシ・パンフレット、ホームページやウェブ広告、店舗の改装、展示会の出展、新商品の開発費用 など

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓等の取り組みを支援する制度です。小規模事業者が経営計画を作成し、計画に沿って販路開拓等の取り組みを支援します。展示会出展費用も対象です。

対象者は、常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下)の小規模事業者です。補助上限額は50万円で、補助率は対象経費の3分の2以内となります。

例えばこんなとき

A社が小規模事業者で、展示会出展に先立ち、商工会議所の指導を受けながら経営計画を策定。その計画にもとづいて展示会用の試作品を製作する場合、50万円を上限に費用の2/3が補助されます。

申請には、経営計画と補助事業計画の作成が必要です。必要書類には、申請書、経営計画書、補助事業計画書、収支明細書などがあり、商工会議所や商工会の確認後、申請することができます。申請手順は以下の通りです。

経営力強化支援事業補助金

補助限度額合計20万円まで
補助率・IT・DX対応支援は1回につき1万円
・販路開拓支援、多様性への対応支援、子育て環境施設整備支援、創業期の広報力強化支援は2分の1
対象経費1. 販路開拓支援
ビジネスフェア出展にかかる経費(出展料、運搬費、設営費等)
2. 多様性への対応支援
多言語化対応、食の多様性にかかる認証制度の取得、店舗のバリアフリー対応にかかる経費を
3. 子育て環境施設整備支援
子育て世帯の利用を想定した店舗の整備にかかる経費
4. 創業期の広報力強化支援
ホームページ制作、回収経費・パンフレット・チラシ・動画・DM作成経費、広告掲載費用。販促品・自社製品のパッケージデザイン、会社等のロゴデザイン作成費、コンサルティング経費、専門家への委託経費
5. IT・DX対応支援
中小企業者のIT・DX化を目的とした専門家派遣事業(東京都中小企業振興公社)にかかる経費

※以上、2024年11月改訂 中野区の場合

経営力強化支援事業補助金は、中小企業の経営力強化を目的とした制度です。目的は、中小企業の経営基盤の強化と競争力の向上にあります。展示会出展を通じた販路開拓も、経営力強化の一環として支援対象です。

補助対象経費には、展示会出展費用、広告宣伝費、専門家への相談費用などが含まれ、補助率は申請する支援事業で異なります

例えばこんなとき

A社が新宿区内の企業で、展示会出展を機に自社のデジタルマーケティング強化を図る場合、展示会用のカタログ制作費やオンライン商談システムの導入費用などの補助が受けられます。

申請には、経営力強化計画の策定が必要です。計画書には、現状分析、目標設定、具体的な取り組み内容を記載します。申請後、審査を経て採択されれば補助金が交付されます。

注意点は2点あります。1点目は、補助金の交付は事業完了後の精算払いとなるため、一時的な資金繰りが必要になる点です。一般的な補助金の場合、いったん経費を全額立て替えます。実際に支払った経費の額と採択後に提出した請求書をもとに適正額の支払いが行われます。

2点目は、申請する区によって補助対象となる経費や補助率が異なることがあります。補助金を申請する際には、最新の情報を収集することをおすすめします。

東京都の事業者向け展示会出展補助金の重要性

展示会は、中小企業が新たな顧客やビジネスチャンスが見つかる販路拡大の機会です。補助金を活用すれば、資金力が限られた企業でも積極的に参加できます。展示会への参加は、企業の営業力やPR力を向上させ、経営の安定化にも役立ちます。さらに、補助金の活用により中小企業の新規市場開拓を支援し、ビジネスの拡大を促進します。

展示会出展にかかる直接費用(小間料、装飾費、輸送費)だけでなく、販促物制作費などの間接費用も補助対象のため、企業の財務負担が軽減されます。中小企業が積極的に展示会に参加すれば、東京都の産業全体の活性化にもつながります。

補助金申請のポイントと注意事項

補助金申請には、事前準備と正確な書類作成が求められます。申請書類作成のコツは、事業計画を具体的に記述し、数値目標を明確に設定することです。例えば、展示会出展後の売上増加率や新規顧客獲得数など、具体的な指標の提示が挙げられます。

よくあるミスには、提出書類の不備や締切日の勘違いがあります。チェックリストを作成し、余裕を持ったスケジュール管理が必要です。また、事業内容と補助金の目的のミスマッチにも注意しなければなりません。公募要領をよく読み、適合しているか確認することが大切です。

審査のポイントは、事業の実現可能性と補助金の必要性です。過去の実績や具体的な実施計画を示し、補助金がなぜ必要なのか明確に説明すれば、採択の可能性が高まります。

展示会出展補助金の活用事例

三調株式会社の竹田抄百合社長は、形状記憶・超薄型インソールの開発・販売を行っています。東京都中小企業振興公社の支援を受け、海外展開プランを策定し、海外展示会に挑戦しました。バンコクでの展示会で手ごたえを得て、40足の販売と現地パートナーとの出会いを実現。産学連携で商品価値を裏付けるデータも取得しました。様々な施策活用を通じて事業計画を見直し、売上はコロナ前の水準まで回復。今後は北米や中東への展開を目指しています。

引用:施策活用事例集 三調株式会社 代表取締役社長 竹田 抄百合氏 支援者との二人三脚で海外展示会にチャレンジ|東京商工会議所

補助金申請に関するQ&A

展示会出展補助金の申請に関して、多くの事業者が疑問を抱えています。ここでは、よくある質問とその回答を紹介し、申請プロセスの理解を深めていきます。

展示会出展補助金の対象となる経費は何ですか?

対象経費には、小間料、小間装飾費、輸送費、通訳費用などが含まれます。海外展示会の場合は、渡航費や宿泊費も対象となることがあります。ただし、飲食費や土産代などの個人的経費は対象外です。

補助金の交付時期はいつですか?

多くの場合、補助金は事業完了後の精算払いとなります。そのため、展示会出展にかかる費用は一旦自己負担する必要があります。交付までの期間は、実績報告書提出後、約1〜2ヶ月程度かかることが一般的です。

申請書類の作成で気をつけるべき点は何ですか?

事業計画を具体的に記述し、数値目標を明確に設定することが重要です。また、自社の独自性や事業の波及効果を明確に説明することで、審査での評価が高まる可能性があります。

補助金申請に関する相談窓口の紹介

補助金申請に関する詳細な相談は、東京都中小企業振興公社の各支援センターで受け付けています。経験豊富なアドバイザーが、申請書類の作成から事業計画の策定まで、きめ細かくサポートしてくれます。相談は無料で、予約制となっています。

Information

連絡先:東京都中小企業振興公社 総合支援課電話:03-3251-7881

受付時間:平日 9:00〜17:00

補助金申請は複雑に感じるかもしれませんが、適切なサポートを受けることで、より円滑に進めることができます。ぜひ、相談窓口を積極的に活用し、展示会出展の機会を最大限に生かしてください。

まとめ:展示会出展補助金を活用した事業拡大戦略

展示会出展補助金は、中小企業の成長を促進する有効な手段です。成功事例のように、補助金を活用して海外展示会に参加したケースもあります。その結果、新規顧客の獲得に成功し、売上が大幅に増加しました。補助金を活用すれば、限られた予算内で大きな成果を上げられるため、中小企業にとって有効な資金調達方法となります。

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