
コラム
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「事業再構築補助金が終了するのは本当か」
「新しくできる中小企業新事業進出補助金とは一体なに」
事業再構築補助金はコロナ禍に創設された補助金であり、補助額が高額な点が注目されていました。
しかし社会の流れがコロナ禍以前に戻ろうとしている中で、一時的な資金調達手段としての役割は終了し新たな補助金が新設されます。
本記事では事業再構築補助金と、新設される中小企業新事業進出補助金を比較し、現時点で分かる情報を紹介します。
補助金申請を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
本記事から分かること
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コロナ禍で設立された事業再構築補助金は、2025年3月の第13回公募をもって終了します。現在公募要領が発表されている第13回が最終回の予定です。
したがって応募が殺到し、採択率が低くなる可能性があります。応募を検討されている方は綿密な計画書作成と申請要件に合致しているか、今一度慎重に確認しましょう。
しかし事業再構築補助金が終了しても、新たな補助金が新設されます。それが「中小企業新事業進出補助金」です。
事業再構築補助金の後継制度として新たに創設される補助金が、中小企業新事業進出補助金です。事業再構築補助金の内容が、コロナ禍からポストコロナへ移行したため役割を終えたことがきっかけといえます。
中小企業新事業進出補助金は、中小企業や個人事業主が新たな事業分野に進出する際に利用できる補助金であり、既存事業は対象ではありません。
事業再構築補助金が創設されたことにあった新市場進出や事業転換などをイメージするとわかりやすいでしょう。
中小企業新事業進出補助金の目的は既存事業とは異なる、新市場・高付加価値事業への進出にかかる設備投資等の支援です。
補助金額は従業員数に応じて2,500万円から7,000万円(賃上げ要件達成時は3,000万円から9,000万円)であり、補助率は1/2(賃上げ要件や小規模事業者は2/3)で、比較的高補助率と考えられます。
事業再構築補助金と中小企業新事業進出補助金を比較してみました。
項目 | 事業再構築補助金 | 中小企業新事業進出補助金 |
目的 | コロナ禍における社会経済の変化への対応を | 中小企業が直面する人手不足や賃上げといった経済社会の変化に対応 |
対象者 | 中小企業、中堅企業 | 中小企業・個人事業主 (みなし大企業は対象外) |
補助率 | 1/2~2/3 (申請枠による) | 1/2 (賃上げ要件や小規模事業者は2/3) |
補助上限額 | 最大1億円 | 従業員数に応じて2,500万円~7,000万円 (大幅賃上げ特例適用時は3,000万円~9,000万円) |
補助対象経費 | 建物費、機械装置費、システム構築費など | 建物費、機械装置費、システム構築費など |
実施期間 | 2021年から開始 | 2025年から開始予定 |
事業再構築補助金と同様に、中小企業にとって小規模事業者持続化補助金と比較すると補助金額が高い内容となっていることがわかります。
中小企業新事業進出補助金では、構築物費・広告宣伝費・販売促進費も補助対象経費に含まれます。
中小企業新事業進出補助金は、企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦する中小企業等が対象です。申請には基本要件が設定されています。
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給与の増加は、従業員一人当たり「都道府県の最低賃金の5年間の平均上昇率以上」あるいは「給与総額を毎年平均2.5%以上の増加」が必要です。
最低賃金の引上げは「社内の最低賃金を都道府県の最低賃金より30円以上高く設定」する必要があります。
最低賃金は2024年10月の改定後「1,163円」です。社内の最低賃金がこれと同額だった場合、30円引き上げることで「1,193円」となります。対象となる従業員が1日6時間、月20日勤務していたと仮定すると1カ月で3,600円アップします。
事業再構築補助金の最終回公募が現時点(2025年1月)実施されていることもあり、公募時期は2025年2月1日現在調整中です。
しかし「補助事業期間は交付決定日から14か月以内(ただし採択発表日から16か月以内)」だと公表されています。今後発表される情報を注視しておきましょう。
事業スキームは、中小企業等が事業計画を作成し、国(経済産業省)に申請を行うことが必要です。審査・採択後、補助金事務局から交付決定を受け、事業を実施します。
事業実施後、実績報告を行い、補助金の支払いを受けるため、受給までの流れは他の補助金とあまり変わりはありません。
中小企業新事業進出補助金に関する詳細な補助金返還要件は、現状では発表されていません。しかし補助金自体は場合により返還を求められるケースがあります。
事業再構築補助金を例に返還を求められたケースを紹介します。
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事業再構築補助金の申請時には、必ず事業計画書の提出が必要です。提出した計画書は審査の基準であり、審査員が魅力的と判断した事業内容に基づいて採択されます。
採択された事業計画書の内容と異なる事業を実施した場合、補助金の受給要件が満たされていないと判断されます。
過去には、機械設備の導入を目的としていたにもかかわらず、計画外の事業に使用されたケースが発覚し、補助金の返還を求められた事例もありました。
事業化状況報告をしていない
補助金を受給した場合、どれくらいの成果が出ているか採択後の報告義務が課されます。事業再構築補助金の場合は、補助事業終了後5年間にわたり、計6回の「事業化情報報告書」の実施が求められていました。
事業化状況報告を怠れば補助金を受給できても返還を要求されます。補助金の原資は国民の税金で賄われているため、受給要件と同様に厳格にチェックされています。
不正受給は法律に違反するため、補助金の返還だけではなく罰則も科されます。特に「補助金を別の用途に流用した」「虚偽申請で補助金を受給した」「虚偽報告を行う」「補助額を不当に引上げ取引先に渡した」などは厳しく取り締まられる内容です。
不正受給を疑われないためにも、どのような経費に対して補助が可能か要綱を詳しく確認しておくことが大切です。
例えば製造業の場合、計画書通りの設備を導入したことを領収書の提出で証明し、補助金を受給します。
申請先の事務局から補助金の用途が守られているか、担当者が調査のために設備の設置場所に訪れます。調査の際に申請通りの設備がなければ「不正受給」とみなされ、補助金の返還を要求されます。
今からできる準備のうち、多くの方が頭を悩ませるものに「事業計画書の策定」があります。綿密な事業計画が伝わると、補助金が有効活用されやすいと判断され、採択されやすくなります。
まだ策定していないのであれば「新規事業でどのようなサービス展開を行うか」「どれくらいの売り上げが見込めそうか」「5年後はどうなっているか」を今から想定しておくと良いでしょう。
「なぜその事業を行うか」を明確にし、SWOT分析をしておくとスムーズな計画書作成が可能です。他にもGビズIDを取得していない場合は、スムーズな申請のために事前に取得しておく必要があります。
本記事では新設される中小企業新事業進出補助金の概要と事業再構築補助金の比較を中心に解説しました。
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事業再構築補助金は、第13回の申請を最後に終了し新たに中小企業新事業進出補助金として創設しました。
中小企業新事業進出補助金に関する詳細な応募要項は、まだ発表されていませんが中小企業にとって高額な補助が期待できるため、資金調達方法としては有益です。
補助金申請を検討される場合は、早めに計画書作成の準備を整え、慌てることなく申請しましょう。
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