コラム

個人事業主におすすめの助成金は?申請スケジュールも紹介【2025年最新版】

資金調達の方法は金融機関からの融資だけではありません。クラウドファンディングや補助金など方法は多様化しています。中でも「助成金」は要件に該当すれば個人・法人を問わず誰でも受給できるだけではなく、返済不要のメリットがあります。

個人事業主の場合、法人よりも金融機関の融資審査が厳しくなる傾向です。助成金を活用すれば資金繰りの悩みを解消できます。

今回は個人事業主でも受給できる助成金と詳しい内容を紹介します。ぜひ参考にしてください。

個人事業主におすすめの助成金一覧

助成金名概要
人材開発支援助成金事業内で行う従業員の職業訓練やスキルアップを促進するための費用を助成する制度
トライアル雇用助成金就職経験の乏しい人や離職期間の長い人などを一定期間試行的に雇用し、適性を見極める制度
中小企業退職金共済制度に係る新規加入掛金助成及び掛金月額変更掛金助成従業員の退職金制度である中小企業退職金共済(中退共)に新規加入、または掛金月額を増額した際に掛金の一部を助成
特定求職者雇用開発助成金高齢者・障がい者・母子家庭の母など就職が困難な人を新たに雇用した場合に助成を行う制度
地域雇用開発助成金雇用機会の少ない地域などに事業所を設置・整備し、従業員を新規雇用する場合に助成を行う制度
早期再就職支援等助成金事業規模の縮小などで人員整理が必要な場合に、労働者の早期再就職を支援した事業主へ助成を行う制度
キャリアアップ助成金非正規雇用の従業員のキャリアアップを促進し、正規雇用への転換や処遇改善を図った場合に助成金を受けられる制度

助成金は要件に該当すれば、個人事業主でも受給できる可能性があります。また返済不要のため、資金繰りの選択肢として活用できます。

ただし申請要件や必要書類、申請時期などは各助成金によって異なるため、最新情報の確認が必要です。

個人事業主が注目すべき助成金①「人材開発支援助成金」

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、8つのコースに分かれています。

コース名概要支給額の上限対象者
人材育成支援コース雇用保険に加入している労働者に対する職務に関連した専門的な知識及び技能の習得を支援する。1人あたり最大75%の研修費用正規雇用の労働者
OJT実施助成コース企業内でのOJT(OntheJobTraining)を実施する事業主に対して助成。1人1訓練当たりの額(定額)雇用保険に加入している労働者
特定訓練コース特定の職業訓練を受ける労働者に対して助成。1人あたり最大60万円特定の職業訓練を受ける労働者
一般訓練コース一般的な職業訓練を受ける労働者に対して助成。1人あたり最大50万円雇用保険に加入している労働者
教育訓練休暇等付与コース教育訓練を受けるための休暇を付与する事業主に対して助成。1人あたり最大30万円雇用保険に加入している労働者
特別育成訓練コース特別な育成訓練を受ける労働者に対して助成。1人あたり最大80万円特別な育成訓練を受ける労働者
人への投資促進コース人材育成に関する投資を促進するための助成。1事業所1年度当たり2,500万円事業主
自発的職業能力開発訓練コース自発的に職業能力開発訓練を行う事業主に対して助成。1人あたり最大300万円雇用保険に加入している労働者

詳しくは「【2024年最新】人材開発支援助成金とは?制度内容や申請方法を徹底解説」も参照ください。

手続きの流れ

人材開発支援助成金の申請手続きは、6つの流れで進めます。

  1. 事前準備
  2. 訓練計画の作成
  3. 計画届の提出
  4. 訓練の実施
  5. 支給申請
  6. 審査・支給

事前準備として企業全体の職業能力開発計画と、推進者を選任することから始まります。訓練開始日の1か月前までに計画届を提出し、実施段階では出席簿や訓練記録などの管理・保管が必要です。

訓練終了後2か月以内に支給申請を行い、必要書類に不備がなければ審査を経て助成金が支給されます。

個人事業主が注目すべき助成金②「トライアル雇用助成金」

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金には、4つのコースがあります。

コース名対象者助成額
一般トライアルコース就職困難な求職者紹介前日に2年以内に2回以上の離職や転職を繰り返している人
紹介前日に1年を超えて離職している人
妊娠・出産・育児を理由に離職し・安定した職業に就いていない期間が1年を超えている人
55歳未満でハローワーク等で個別支援を受けている人
最長4万円(最長3か月)母子家庭の母等または父子家庭の父の場合、最長5万円(最長3か月)
障害者トライアルコース障害者手帳所持者就労経験のない職業に就くことを希望する人
離職や転職を繰り返している人
長時間最大4万円(最長3か月)精神障害の人の場合、最初の3ヶ月は月額最大8万円、その後3ヶ月は月額最大4万円(連続6か月)
障害者短期トライアルコース精神障害者発達障害者
週10時間以上20時間未満の短時間労働を希望する者
最長4万円(最長12ヶ月)
若年・女性建設労働者トライアルコース35歳未満の若年者または女性建設工事の現場作業に従事する人
建設工事の施工管理に従事する人
最長4万円(最長3か月)

一般トライアルコースは、幅広い就職困難者が対象です。特に転職を繰り返す者や長期離職者、育児等で離職した者などに焦点を当てています。

障害者トライアルコースと障害者短時間トライアルコースは、障害を持つ方々の就労支援の助成金です。精神障害者に対しては、より長期間かつ高額の支援が提供され、職場適応を支援しています。

障害者短時間トライアルコースは、短時間労働を希望する精神障害者や発達障害者に特化しています。最長12か月の長期間の支援を通じて、段階的な就労を目指しています。

若年・女性建設労働者トライアルコースは、建設業界における若年層と女性の参入を促進するためのコースです。人材不足や高齢化問題に対応するため、新たな人材の確保と育成を目的としています。

必要書類と申請手続きの流れ

4つのコースのいずれかに申請する場合、共通している書類と別途申請コース別の書類が必要です。

  • トライアル雇用実施計画書(様式第1号)
  • トライアル雇用結果報告書兼トライアル雇用助成金支給申請書(様式第2号)
  • 対象者の雇用契約書(写)
  • 対象者の出勤簿・賃金台帳(写)
  • 事業所の概要が分かる書類(パンフレットなど)
コース名必要書類
障害者トライアルコース障害者手帳等の写し職業紹介時に確認した書類(写)
障害者短期トライアルコース障害者手帳等の写し職業紹介時に確認した書類(写)短時間労働であることを示す書類(雇用契約書等)
若年・女性建設労働者トライアルコース業務建設に従事することを示す書類(業務内容が記載された雇用契約書等)

※なお一般トライアルコースでは、追加書類はありません。

トライアル雇用助成金の申請手順は7つです。

  1. トライアル雇用対象者の紹介受入
  2. トライアル雇用実施計画書の作成・提出
  3. トライアル雇用の実施と雇用管理
  4. 書類の適切な管理
  5. トライアル雇用結果報告書兼支給申請書の作成
  6. 必要書類の提出
  7. 審査と助成金支給

詳細は厚生労働省公式サイトからも確認できます。

個人事業主が注目すべき助成金③「中小企業退職金共済制度に係る新規加入掛金助成及び掛金月額変更掛金助成」

中小企業退職金共済制度に係る新規加入掛金助成及び掛金月額変更掛金助成制度は、従業員の退職金制度を充実させるために設けられた制度です。

新規加入掛金助成は、事業主が中退共制度に加入し、掛金を納付することがあります。

対象者

中小企業退職金共済制度に係る新規加入掛金助成及び掛金月額変更掛金助成の対象者は、中小企業の事業主です。

助成金を申請する場合、常用従業員数が300人以下(卸売業は100人以下、サービス業と小売業は50人以下)または、資本金が3億円以下(卸売業は1億円以下、サービス業と小売業は5,000万円以下)の要件を満たす必要があります。

新規加入掛金助成の対象は、新たに中退共制度に加入する事業主です。

ただし同居の親族のみを雇用する事業主や、社会福祉施設職員等退職手当共済制度に加入している事業主、適格退職年金制度から移行してきた事業主などは対象外です。

必要書類と申請手続きの流れ

5つの手順を踏んで、助成金を申請する必要があります。

  1. 必要書類の準備と記入
  2. 中退共本部への書類提出
  3. 中退共による審査
  4. 助成の開始(要件を満たす場合)
  5. 定期的な掛金の納付(通常は口座振替)

詳細は「厚生労働省公サイト」または、「独立行政法人勤労者退職金共済機構 中小企業退職金共済事業本部公式サイト」で確認できます。

個人事業主が注目すべき助成金④「特定求職者雇用開発助成金」

特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金には、2つのコースがあります。

コース名対象者
特定就職困難者コース60歳以上の人
身体障害者
精神障害者
母子家庭の母等
父子家庭の父(児童手当を受給している者に制限する)
その他の就職困難者(残留邦人等永住帰国者、中国帰国被害者等)
就職氷河期世代安定雇用実現コース賃金投入日時点で35歳以上5歳未満の人
賃金投入日の過去5年間に正規雇用労働者として雇用された期間が1年以下で、かつ賃金日数1年間に正規雇用労働者として雇用されていない人
ハローワーク等で個別支援等を受けている人

必要書類と申請手続きの流れ

5つの手順を踏んで、助成金を申請する必要があります。

  1. ハローワーク等からの紹介による対象者の雇い入れ
  2. 必要書類の準備
  3. 雇入れ日から6か月後の翌日から2か月以内に申請書類を提出
  4. 審査と支給決定
  5. 6か月ごとに最大3年間(対象者により異なる)、同様の手続きで申請

詳しくは厚生労働省公式サイト「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」や「特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)」を参照ください。

個人事業主が注目すべき助成金⑤「地域雇用開発助成金」

地域雇用開発助成金
対象者要件
事業主指定地域において、事業所の新設や増改築などの整備を行う事業主
事前に計画書を各都道府県の労働局長に提出した事業主
対象労働者を3人(創業の場合は2人)以上雇い入れた事業主
雇用保険の適用事業主であること
労働者雇い入れ日時点で、地域に居住する求職者であること
ハローワークなどの紹介で雇い入れられた求職者であること
雇い入れ当初から、雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者であること
継続して雇用する労働者として雇い入れられること
事業主の三親等以内の親族ではないこと

必要書類と申請手続きの流れ

必要書類は計画書提出時と支給申請時で異なるため、事前に確認しておきましょう。

計画書提出時地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)計画書
事業所状況等申立書(地様式第12号)
事業所概要がわかる資料(パンフレット、組織図など)
支給申請時支給申請書(様式第3号)
対象労働者雇用状況等申立書(様式第5号)
支給要件確認申立書(様式第1号)
対象者の雇用契約書または労働条件通知書の写し
対象者の賃金台帳と出勤簿の写し
設置・整備費用申告書(地様式第16号)
設置・整備費用の証明書類(見積書、請求書、領収書など)

7つの手順を踏んで、助成金を申請する必要があります。

  1. 計画書を管轄の労働局長に提出する
  2. 計画期間内(最長18か月)に事業所の設置・整備を行い、地域雇用の拡大を図る
  3. 計画期間内にハローワーク等を通じて対象労働者を3人(創業の場合は2人)以上雇用する
  4. 完了届(第1回支給申請書)を労働局長に提出する
  5. 実地調査を受ける
  6. 1年間、被保険者数および対象労働者数の維持、対象労働者の定着に取り組む
  7. 第2回、第3回支給申請書を1年ごとに労働局長に提出する

個人事業主が注目すべき助成金⑥「早期再就職支援等助成金」

早期再就職支援等助成金

早期再就職支援等助成金には、4つのコースがあります。

コース名対象者
再就職支援コース「再就職援助計画」または「求職活動支援書」の対象者であること
雇入れ支援コース離職直前に「再就職援助計画」または「求職活動支援書」の対象者であったこと
中途採用拡大コース申請事業主に中途採用で雇い入れられた一般被保険者または高年齢被保険者であること
UIJターンコース東京圏から地方へ移住した労働者で、移住支援金の受給者であること

再就職支援コースでは対象者が再就職援助計画に基づいて支援を受ける必要があります。また復帰の見込みがない場合や、退職勧奨を受けていない方が対象です。

雇入れ支援コースは、離職後3か月以内に雇い入れられる必要があります。特定受給資格者としての条件も重要です。

中途採用拡大コースは、中途採用による新規雇用を促進するためのものです。過去1年間に同じ事業主で働いた経験がないことが条件に含まれます。

UIJターンコースは、東京圏から地方へ移住した労働者を対象としています。移住支援金の受給が前提で、地方創生を目的とした施策の一環といえます。

必要書類と申請手続きの流れ

7つの手順を踏んで、助成金を申請する必要があります。

  1. 再就職援助計画または求職活動支援基本計画書の作成・提出
  2. 対象労働者の離職
  3. 新たな事業主による対象労働者の雇入れ
  4. 雇用管理
  5. 支給申請書類の準備
  6. 支給申請
  7. 審査・支給決定

詳細は厚生労働省公式サイト「早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース)」と「早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)」からも確認できます。

個人事業主が注目すべき助成金⑦「キャリアアップ助成金」

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金には、以下5つのコースがあります。

コース名対象者
正社員化コース非正規雇用労働者(有期契約労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)を正社員または無期雇用に転換した事業主
賃金規定等改定コース賃金規定等を3%以上増額改定し、適用後6か月以上運用した事業主
賃金規定等共通化コース有期契約労働者等に対して正規雇用労働者と共通の賃金規定等を新たに作成・適用した事業主
賞与・退職金制度導入コース非正規雇用労働者に対して新たに賞与または退職金制度を導入した事業主
社会保険適用時処遇改善コース非正規雇用労働者に社会保険適用拡大と同時に基本給や手当など処遇改善措置を行った事業主

詳しくは「2025年版!キャリアアップ助成金は誰がもらえる?正社員コースの条件や申請方法」を参照ください。

必要書類と手続きの流れ

5つのコースのいずれかに申請する場合、キャリアアップ助成金申請書が必要です。申請は一部申請コースにより異なりますが、6つの手順を踏んで、助成金を申請する必要があります。

  1. キャリアアップ計画書の作成・提出
  2. 就業規則の改定(必要な場合)
  3. 計画の実行
  4. 賃金支払い・記録保持
  5. 支給申請書類の作成・提出
  6. 審査・助成金支給

各コースの取り組みを実施する前に「キャリアアップ計画書」を作成し、労働局またはハローワークに提出します。

まとめ

個人事業主向けの助成金を活用すると、資金繰りに課題を感じる個人事業主でも、自重成長に必要な投資ができます。人材開発支援助成金・トライアル雇用助成金などの制度は、個人事業主でも申請できます。

助成金は従業員の育成、雇用促進、処遇改善などの様々な目的に応じた活用が可能です。要件を満たせば返済不要の資金が得られるため、事業成長に不安を感じている個人事業主は、助成金制度を活用しましょう。

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