コラム

リスキリング助成金とは?代わりに使える補助金制度も紹介!【2025年最新】

「リスキリング助成金ってどんな制度?」
「代わりに使える補助金制度はない?」

働く人や企業が新しいスキルを身につける「リスキリング」が注目されています。しかしリスキリングには、時間やコストがかかりやすいです。

個人事業主や企業のリスキリングをサポートするために、国や自治体では「リスキリング助成金」制度を実施しています。リスキリング制度を活用すれば、負担を抑えながら労働者のスキルアップが進めやすいです。

本記事ではリスキリング助成金の詳細を解説します。代わりに活用できる他の補助金制度も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

  • リスキリング助成金は、職業や業界の変化に対応するために、新しいスキルを獲得する企業・従業員を支援する助成金制度
  • 目的・支援内容別に7つのコースが設けられている
  • リスキリング助成金以外に、リスキリング目的で活用できる補助金が3つある

リスキリングは職業・業界の変化に対応するためのスキル獲得

リスキリングは職業・業界の変化に対応するためのスキル獲得

リスキリングとは職業や業界の変化に対応するために、新しいスキルを獲得することです。

AI技術やDXの進展により、単純作業は機械に置き換えられ、クリエイティブな仕事が人間に求められつつあります。

従来のスキルではAI技術の進歩やDX化に対応できません。長く働き続けるためには、新たなスキルの習得が必要です。

また新たなスキルを獲得すれば、昇進や転職の機会が広がり、キャリアアップにもつながります。

リスキリング助成金(人材開発支援助成金)には7つのコースがある

リスキリング助成金(人材開発支援助成金)には7つのコースがある

リスキリング助成金はスキルアップの目的や支援内容によって、7つのコースに分けられています。

1つずつみていきます。

人材育成支援コースはスキル獲得訓練に必要な経費・賃金を補填できる助成金

出典:人材開発支援助成金|人材育成支援コース

人材育成支援コースとは、従業員のスキル獲得訓練に必要な経費・賃金を補填できる助成金が支給できる制度です。従業員の成長を促進し、企業の競争力向上や業績拡大につなげる効果が期待できます。

人材育成支援コースでは人材育成訓練や、認定実習併用職業訓練などの3つの訓練が、支給対象として指定されています。

人材育成支援コースの支給対象となる訓練

1つずつみていきます。

人材育成訓練

人材育成訓練は正社員や契約社員などが対象で、職務に関連する知識や技能を習得させるための訓練です。

「OFF-JT」と「実際の訓練時間数が10時間以上」の2つの要件を満たす訓練が、人材育成訓練に該当します。

認定実習併用職業訓練

認定実習併用職業訓練とは、理論と実践を組み合わせた学習を通じて、専門的なスキルを身につけるための訓練です。

訓練は実際の業務に関連した実習を中心に進められます。3ヵ月以上にわたって、講義で基礎知識を学び、現場で実践して習熟度を高めるプログラムが組まれています。

有期実習型訓練

有期実習型訓練とは、短期間で実践的なスキルを身につけるための訓練です。理論を学ぶ講義と職場での実践訓練が統合されており、実践的なスキルが効率よく身につけられます。

実践期間は6ヵ月から2年ほどで、長期間の訓練になる点でコストがかかりやすいです。しかしリスキリング助成金を活用すれば、負担を抑えて訓練を実施しやすくなります。

教育訓練休暇等付与コースはスキルアップ目的の休暇付与で受け取れる助成金

教育訓練休暇等付与コースはスキルアップ目的で企業が休暇を付与すると受け取れる助成金

出典:人材開発支援助成金|教育訓練休暇等付与コース

教育訓練休暇等付与コースとは、従業員がスキルアップや専門知識の習得を目的とした教育訓練を受ける際に、企業が休暇を付与した場合に助成金を支給する制度です。

人材育成支援コースをはじめとした訓練には、従業員の裁量でスキルアップできないデメリットがあります。決められた訓練内容では効率的にスキルが身に付けられない従業員もいます。

スキルアップ目的の休暇付与に対して助成金を支給する教育訓練休暇等付与コースであれば、学びの時間を確保して、従業員ごとに必要な学習が進めやすいです。

自発的にスキルアップに向けて行動できる従業員が多い企業は、教育訓練休暇等付与コースを選びましょう。

人への投資促進コースはスキル獲得に必要な経費・賃金を補填できる助成金

人への投資促進コースは対象メニューを通じて従業員のスキル獲得を狙う場合に必要な経費・賃金を補填できる助成金

出典:人材開発支援助成金|人への投資促進コース

人への投資促進コースとは、対象メニューを通じて従業員のスキル獲得を狙う場合に、必要な経費・賃金を補填できる助成金制度です。

人材育成支援コースは個人のスキル獲得の見込める訓練に、助成金が適用されます。一方で人への投資促進コースは、チーム全体のスキル向上につながる訓練にも助成金が適用されます。

人への投資促進コースでは、高度デジタル人材訓練や成長分野等人材訓練などの7つの訓練が、支給対象として指定されています。

1つずつみていきます。

高度デジタル人材訓練

高度デジタル人材訓練とは、デジタル技術を活用し、企業や社会の発展に貢献できる専門性の高い人材を育成するための訓練です。

AIやビッグデータ、IoTなどに関する知識とスキルの習得を目指すプログラムが組まれています。たとえばAIモデルの構築手法を理論的に学び、実際にデータを用いてモデルを開発するスキルが身に付けられます。

成長分野等人材訓練

成長分野等人材訓練とは、経済の変化に応じた新しい分野で活躍できる人材を育成するための訓練です。

成長分野に特化した専門知識と実践的なスキルの習得を軸に構成されています。たとえば環境、医療、デジタル分野など、今後の社会で需要が高まる分野への対応力が鍛えられるプログラムが組まれています。

情報技術分野認定実習併用職業訓練

情報技術分野認定実習併用職業訓練とは、IT分野で即戦力として活躍できる人材を育成するための実践的な訓練です。

情報技術の急速な進展を踏まえ、企業のデジタル化を支える専門性の高い知識と技術を身につける目的で実施されています。業界のニーズを意識した訓練が受けられるため、必要な知識・スキルを身に付けると、現場で即戦力として高く評価されやすいです。

定額制訓練

定額制訓練とは、安定した費用で業務に必要なスキルを高めるための訓練です。教育内容を従業員ごとのニーズに合わせて設計でき、一定のコストで教育訓練が実施できます。

定額制訓練は教育内容に決まりがないため、従業員ごとに身に付けるべきスキルが異なり、容易に予算管理をしたい企業におすすめです。

自発的職業能力開発訓練

自発的職業能力開発訓練とは、個々の意欲を尊重しながらスキル向上を目指せる訓練です。

従業員が企業に身に付けたいスキルを伝え、企業がスキル獲得に必要な環境を用意します。従業員の学びの姿勢が強い場合は、自発的職業能力開発訓練を選ぶと従業員から信頼されやすくなり、モチベーションアップにつながります。

長期教育訓練休暇制度

教育訓練短時間勤務等制度とは、従業員が一定期間業務を離れ、集中的にスキル習得に専念できる制度です。

日常業務と並行してスキルを獲得するのが難しい従業員が多い場合は、スキル獲得に集中できる取り組みを選ぶと、どの企業でも従業員のスキルアップが期待できます。また教育訓練短時間勤務等制度が適用されると、業務を離れている期間も、従業員に給与・手当の一部が支給できます。

教育訓練短時間勤務等制度

教育訓練短時間勤務等制度とは、働きながらスキルを高めるための柔軟な働き方を実現する制度です。

長期教育訓練休暇制度が完全にスキル習得に専念させる制度なのに対し、教育訓練短時間勤務等制度は、業務時間を短縮してスキル習得の時間を確保する制度です。従業員・企業のニーズに合わせて、現場のスキルアップに必要な制度を選択しましょう。

事業展開等リスキリング支援コースは新たな事業展開に必要なスキル獲得向けの助成金

事業展開等リスキリング支援コースは新たな事業展開に必要なスキル獲得を支援する助成金

出典:人材開発支援助成金|事業展開等リスキリング支援コース

事業展開等リスキリング支援コースとは、企業が新たな事業分野への進出や業務内容の見直しを図る際に、従業員のスキル習得を支援する助成金制度です。

スマートフォンが普及して以降、消費者のニーズが変化しやすくなっており、企業成長のためには大きな事業展開が求められる場合もあります。新たな事業に参入すると、従業員は基礎的な知識の習得が求められ、十分な教育環境を確保する必要があります。

大きな事業展開には多大なコストがかかるため、何も準備ができていない事業者が多いです。コスト面で事業展開が進められていない事業者は、事業展開等リスキリング支援コースを活用しましょう。

建設労働者認定訓練コースは建設労働者の教育訓練を支援する助成金

建設労働者認定訓練コースは建設労働者の教育訓練を支援する助成金

出典:人材開発支援助成金|建設労働者認定訓練コース

建設労働者認定訓練コースとは、建設業界に従事する労働者の教育訓練支援を目的とした助成金制度です。

建設業界では若い世代の技術者の不足が問題視されています。建設業で求められる技術力は、現場の安全性や業務効率に影響を与えます。

建設労働者認定訓練コースを活用すると、企業側の負担を抑えて、建設現場で必要な実務技能や資格取得に関連する教育訓練が実施可能です。

建設労働者技能実習コースは建設労働者の技能向上を支援する助成金

建設労働者技能実習コースは建設労働者の技能向上を支援する助成金

出典:人材開発支援助成金|建設労働者技能実習コース

建設労働者技能実習コースとは、建設業界に従事する労働者の技能向上を目的とした助成金制度です。

建設労働者認定訓練コースでは認定職業訓練、あるいは指導員訓練に含まれる訓練が、支援対象に指定されています。建設労働者技能実習コースでは、その他の建設業に関わる学習訓練の取り組みが、対象経費にできます。

たとえば訓練費用以外に、スキル習得のために有休を使った際の賃金や講師の報酬などの負担軽減も可能です。

認定職業訓練とは、事業主が雇用する従業員に実施する職業訓練です。
指導員訓練とは、職業訓練の担当者を育成する訓練です。

障害者職業能力開発コースは障害を持つ労働者の技能向上を支援する助成金

障害者職業能力開発コースは障害を持つ労働者の技能向上を支援する助成金

出典:人材開発支援助成金|障害者職業能力開発コース

障害者職業能力開発コースとは、障害を持つ労働者が職場での能力を発揮するために、必要なスキルや知識の習得支援を目的とした助成金制度です。

医療技術の進歩により、障害者に認定される人が増加しています。程度の大きさに関わらず、障害を持つ労働者が安心して働けるように、専門的なスキルや知識獲得の訓練が求められています。

障害者職業能力開発コースを活用すれば、負担を抑えて障害者が安心して働ける環境が構築しやすいです。

また障害者向けの取り組みを実施していると、ダイバーシティに積極的な事業者として評価されやすいです。

リスキリング助成金の代わりに使える3つの補助金

リスキリング助成金の条件を満たせない場合、補助金を活用した従業員のスキルアップ支援が可能です。

ものづくり補助金やIT導入補助金などの3つの補助金が、リスキリング助成金の代わりに使えます。

リスキリング助成金の代わりに使える補助金

1つずつみていきます。

ものづくり補助金

ものづくり補助金

引用:ものづくり補助金

ものづくり補助金とは、中小企業や小規模事業者が新たな設備投資や技術導入を行う際に支援を受けられる補助金制度です。

革新的な製品・サービス展開の事業計画構築にかかる費用を経費にでき、従業員のスキル獲得にかかる経費負担も軽減できます。

製造業に限らず新たな事業展開を検討中の企業は、ものづくり補助金を活用しましょう。

なおものづくり補助金の詳細が知りたい方は、次の記事を参考にしてください。

IT導入補助金

IT導入補助金

引用:IT導入補助金

IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者が業務効率化や生産性向上を目指してITツールを導入する際に活用できる補助金制度です。

ITツールやソフトウェアなどを用いて業務を効率化させる際には、従業員の技術力が求められます。デジタル化を進めるために従業員の技術力向上が必要な場合は、IT導入補助金で経費負担が軽減できます。

ただし対象経費に指定されているITツール・ソフトウェアの種類が指定されているため、事前に公式サイトでチェックしましょう。

なおIT導入補助金の詳細が知りたい方は、次の記事を参考にしてください。

求職者支援制度

引用:求職者支援制度

求職者支援制度とは、職業訓練を通じて就職を目指す方を対象とした支援制度です。

求職者支援制度を活用すると、雇用保険に加入していない求職者やスキル不足で就職が難しい方が、無料または低コストで職業訓練を受けられます。

リスキリング検討中の個人事業主、あるいは個人事業主を目指している方は、求職者支援制度で新たなキャリアの構築を目指しましょう。

まとめ

リスキリング助成金の詳細をおさらいしましょう。

  • リスキリング助成金は、職業や業界の変化に対応するために、新しいスキルを獲得する企業・従業員を支援する助成金制度
  • 目的・支援内容別に、人材育成支援コースや教育訓練休暇等付与コースなどの7つのコースに分けられている
  • ものづくり補助金やIT導入補助金なども、リスキリング目的で使える

リスキリング助成金とは、職業や業界の変化に対応するために、新しいスキルを獲得する企業・従業員を支援する助成金制度です。AI技術やDXの進展などに合わせたスキル獲得を目指す企業・従業員の、金銭面の負担を軽減する役割があります。

人材育成支援コースをはじめとした7つのコースがあり、リスキリングの目的や業界・業種などに合わせて、コスト負担が軽減しやすいコースが選べます。

適用要件や支給額などを確認したうえで、負担が抑えやすい助成金・補助金を活用して、従業員のリスキリングを積極的にサポートしましょう。

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