コラム

【経営者必見】えるぼし・くるみん認定とは? 制度と補助金への活用について徹底解説

「えるぼし認定・くるみん認定って何?」
「補助金を受けやすくするためにはどうしたらいい?」

補助金制度の審査に通過するための加点項目として、えるぼし認定・くるみん認定が注目されています。

革新的な商品・サービスの開発や、事業の立て直しなどのために、返済が不要な補助金制度を活用したい方も多いでしょう。

えるぼし認定・くるみん認定を受けた企業は、女性活躍の推進や子育て支援に力を入れている点が高く評価され、補助金の申請に有利に働きます。

本記事ではえるぼし認定・くるみん認定の概要を解説します。

えるぼし認定・くるみん認定の補助金への活用法や認定基準なども解説しているので、ぜひ参考にしてください。

えるぼし・くるみん認定とは?女性活躍推進・育児支援に注力する企業を認定する制度

えるぼし・くるみん認定とは?女性活躍推進・育児支援に注力する企業を認定する制度

引用:厚生労働省

えるぼし認定は一定の基準を超える女性活躍推進の取り組みを実施する企業を認定する制度です。

女性が仕事で活躍できる環境を構築する目的で、認定制度が実施されています。

一方でくるみん認定は、一定の基準を超える育児支援の取り組みを実施する企業を認定する制度です。

男女関係なく仕事をしながら子育てしやすい環境を作り、子供が産みやすい状況を作る目的で、認定制度が実施されています。

えるぼし認定・くるみん認定で、認定基準や必要書類などの要件が一部異なります。

概要えるぼし認定くるみん認定
加点対象補助金ものづくり補助金
小規模事業者持続化補助金
事業再構築補助金
など
ものづくり補助金
小規模事業者持続化補助金
事業再構築補助金
など
加点対象融資働き方改革推進支援資金働き方改革推進支援資金
認定基準採用基準
継続就業
労働時間
など
行動計画策定
行動計画の計画期間
行動計画に定めた目標の達成
など
必要書類基準適合一般事業主認定申請書
計画期間に申請年月日を含む一般事業主行動計画の写し
労働者への周知及び公表を行っていることを明らかにする書類
など
成果に関する具体的な目標について明らかにする書類
提出方法郵送
オンライン申請
郵送
オンライン申請

えるぼし認定・くるみん認定を受けると、補助金の審査だけでなく、働き方に関する融資制度の審査でも加点されます。

補助金・融資制度の加点を見越して、えるぼし認定・くるみん認定の要件を確認しましょう。

えるぼし・くるみん認定を受けると補助金制度が受けやすくなる

えるぼし・くるみん認定を受けると補助金制度が受けやすくなる

引用:ものづくり補助金

えるぼし認定・くるみん認定を受けると、補助金制度が受けやすくなります。

補助金制度においては、えるぼし認定・くるみん認定のどちらが認められても、ものづくり補助金や事業再構築補助金などの補助金制度の審査で加点されます。

えるぼし認定・くるみん認定で加点される補助金制度

  • ものづくり補助金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • 事業再構築補助金
  • 事業承継・引継ぎ補助金
  • IT導入補助金

ものづくり補助金は、革新的な商品・サービスの開発を支援する補助金制度で、事業再構築補助金は、事業再構築に必要な金額を支援する補助金制度です。

ものづくり補助金には、事業成長に必要な資金が不足しており、新たなチャレンジができていない企業の行動意欲を促進する役割があります。

一方で事業再構築補助金には、コロナショックやIT技術の急速な発展などで経済環境が変化した場合に、大幅に事業を再構築する際の費用をサポートする役割があります。

なおものづくり補助金制度の詳細を知りたい方は、次の記事で解説しているのでご確認ください。

また事業再構築補助金制度の詳細を知りたい方は、次の記事の内容をチェックしましょう。

えるぼし・くるみん認定を受けると融資が受けやすくなる

えるぼし・くるみん認定を受けると融資が受けやすくなる

引用:日本政策金融公庫 働き方改革推進支援資金

えるぼし認定・くるみん認定を受けると、働き方改革推進支援資金が受けやすくなります。

働き方改革推進支援資金は、労働時間の縮減や年次有給休暇の取得を支援する中小企業事業者に対し、費用負担の一部を融資する制度です。

制度を活用すると、最大で7億2千万円まで融資できます。

融資条件働き方改革推進支援資金
融資限度額7億2千万円
利率0.75%~2.35%
対象者非正規雇用の処遇改善に取り組む方
事業場内最低賃金の引上げに取り組む方
女性の職業生活の活躍の推進に基づく認定を受けた方
など
使用用途働き方改革に必要な設備資金・長期運転資金
返済期間設備資金 20年以内
運転資金 7年以内

対象者の一例として、非正規雇用の処遇改善や女性の職業生活の活躍の推進に基づく認定を受けた方が含まれています。

えるぼし認定・くるみん認定を受けつつ、働き方改革を進めたい方は、働き方改革推進支援資金の申請を検討しましょう。

なお働き方改革推進支援資金の対象者や詳細な利率などを知りたい方は、公式サイトでご確認ください。

えるぼし・くるみん認定の評価基準の確認が必要

えるぼし・くるみん認定の評価基準の確認が必要

えるぼし認定・くるみん認定の認定を受けるためには、所定の評価基準の確認が必要です。

えるぼし認定は5つ、くるみん認定は10個の評価項目が設定されています。

認定制度評価項目
えるぼし認定採用
継続就業
労働時間
管理職比率
キャリアコース
くるみん認定行動計画策定指針
行動計画の計画期間
行動計画の目標
行動計画の周知
女性労働者の育児休業等取得率
子育て支援制度
労働時間
目標設定が必要な項目
法令違反

えるぼし認定・くるみん認定を受ける前に、評価基準の内容をチェックしましょう。

えるぼし認定の5つの基準

えるぼし認定の5つの基準

えるぼし認定には採用や継続就業などの、5つの評価基準が設けられています。

基準項目えるぼし認定の評価基準
採用男女の採用競争倍率が同程度
継続就業継続就業に関する2つのいずれかの基準を満たすこと
労働時間時間外労働・休日労働の合計時間が毎月45時間以内
管理職比率管理職比率に関する2つのいずれかの基準を満たすこと
キャリアコース4つの基準のうち、大企業は2個、中小企業は1個以上満たすこと

継続就業においては、2つのいずれかの基準を満たすと高く評価されます。

えるぼし認定の継続就業の評価基準

  • 「女性労働者の平均継続勤務年数÷男性労働者の平均継続勤務年数」が雇用管理区分ごとにそれぞれ0.7以上
  • 「10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された女性労働者の継続雇用割合÷10事業年度前及びその前後に採用された男性労働者の継続雇用割合」が雇用管理区分ごとにそれぞれ0.8以上

約10年で女性労働者の継続勤務や継続雇用の男性労働者と比較した際の割合が、基準値を超えていると、継続就業の項目で高い評価を受けやすいです。

また管理職比率においては、2つのいずれかの基準を満たすと高く評価されます。

えるぼし認定の管理職比率の評価基準

  • 管理職に占める女性労働者の割合が別に定める産業ごとの平均値以上であること
  • 直近3事業年度の平均した「課長級より1つ下位の職階にある女性労働者のうち課長級に昇進した女性労働者の割合」÷直近3事業年度の平均した「課長級より1つ下位の職階にある男性労働者のうち課長級に昇進した男性労働者の割合」が0.8以上であること

産業別あるいは3事業年度にわたって、男性労働者と比較した際の女性労働者の管理職比率が、基準値を超えていると、管理職比率の項目で高い評価を受けやすいです。

キャリアコースに関しては4つの基準が設けられており、大企業は2つ、中小企業は1つ以上基準を満たすと高く評価されます。

えるぼし認定のキャリアコースの評価基準

  1. 女性の非正社員から正社員への転換
  2. 女性労働者のキャリアアップに資する雇用管理区分間の転換
  3. 過去に在籍した女性の正社員としての再雇用
  4. おおむね30歳以上の女性の正社員としての採用

女性労働者の正社員登用やキャリアアップなどを積極的に実施していると、キャリアコースの項目で高い評価を受けやすいです。

くるみん認定の10個の基準

くるみん認定の10個の基準

くるみん認定には行動計画策定指針や行動計画の計画期間などの、10個の評価基準が設けられています。

基準項目くるみん認定の評価基準
行動計画策定指針適切な行動計画を策定
行動計画の計画期間2年~5年
行動計画の目標それぞれが定めた目標を達成
行動計画の周知行動計画を世間に公表
あるいは
労働者への周知
女性労働者の育児休業等取得率75%以上
子育て支援制度育児休業に関する制度
所定外労働の制限に関する制度
所定労働時間の短縮措置または始業時刻変更等の措置に準ずる制度
の実施
労働時間法定時間外・法定休日労働時間の平均が各月45時間未満
月平均の法定時間外労働60時間以上の労働者がいない
目標設定が必要な項目所定外労働の削減のための措置
年次有給休暇の取得の促進のための措置
働き方の見直しに関する労働条件整備の措置
法令違反法および法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がない

目標設定が必要な項目に関しては、所定外労働の削減や年次有給休暇の取得の促進などの3つのいずれかの項目で具体的な目標を設定して、働き方の見直しを実施すれば評価されます。

また10個の評価基準とは別に、男性労働者の育児休業について2つのいずれかの基準を満たすと、高く評価されやすいです。

くるみん認定における男性労働者の育児休業の基準

  • 男性労働者の育児休業等取得率10%以上
  • 男性労働者の育児休業等取得率および企業独自の育児を目的とした休暇制度利用率20%以上

男性労働者の育児休業等取得率および休暇制度利用率、女性労働者の育児休業等取得率の割合は、厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」での公表が必要です。

えるぼし・くるみん認定を受ける際に必要な書類

えるぼし・くるみん認定を受ける際に必要な書類

えるぼし認定・くるみん認定を受ける際には、所定の必要書類の提出が必要です。

えるぼし認定では一般事業主認定申請書や、一般事業主行動計画の写しなどの6つの書類を提出します。

えるぼし認定を受ける際に必要な書類

  1. 基準適合一般事業主認定申請書
  2. 計画期間に申請年月日を含む一般事業主行動計画の写し
  3. 労働者への周知及び公表を行っていることを明らかにする書類
  4. 基準適合一般事業主認定申請書3の実績を明らかにする書類
  5. 基準適合一般事業主認定申請書4,5の公表した日を明らかにする書類であって、公表した日付がわかるもの
  6. 関係法令遵守状況報告書

女性労働者の活躍を推進する具体的な計画書や、女性労働者の活躍推進を労働者に周知していることがわかる書類などが確認できると、認定が受けやすいです。

一方でくるみん認定では、くるみん認定申請書や一般事業主行動計画などの9つの書類を提出します。

くるみん認定を受ける際に必要な書類

  1. くるみん認定申請書
  2. 一般事業主行動計画
  3. 目標達成したことを明らかにする書類
  4. 一般事業主行動計画策定の公表と労働者への周知を明らかにする書類
  5. 育休等をした男性労働者及び女性労働者の氏名と育休等をした期間、取得の対象となった子の年齢及び生年月日が記載されている書類
  6. 育休に関する制度等の実施状況を明らかにする書類
  7. 成果に関する具体的な目標や実施状況を明らかにする書類
  8. 関係法令遵守状況報告書
  9. 男女の育休等取得率について「両立支援のひろば」で公表していることを明らかにする書類

子育て支援に関する制度の実施状況や、数値的な目標などが書類から読み取れ、良好な状態だと判断されると認定が受けやすいです。

えるぼし・くるみん認定の申請は郵送やオンラインで対応

えるぼし・くるみん認定の申請は郵送やオンラインで対応

えるぼし認定・くるみん認定の申請は、郵送やオンラインで対応しています。

一般事業主行動計画を社内外で公表し、必要書類を揃えて各都道府県の労働局に郵送あるいはオンラインで申請します。

書類を提出すれば手続きが進められるため、申請にそれほど手間はかかりません。

申請方法の詳細は、えるぼし認定の公式サイト・くるみん認定の公式サイトをチェックしてください。

えるぼし・くるみん認定を受けた企業の事例

ここではえるぼし認定・くるみん認定を活用した企業の事例を2つ紹介します。

1つずつみていきます。

株式会社アドバンテッジリスクマネジメント:育児と仕事の拡充

引用:株式会社アドバンテッジリスクマネジメント

株式会社アドバンテッジリスクマネジメントは、えるぼし認定・くるみん認定を獲得し、育児と仕事を両立する制度を確立しました。

認定を受けて以降、育児休暇を有給で取得したり、時間単位で有給を取得したりできるようになりました。

株式会社アドバンテッジリスクマネジメントのえるぼし認定・くるみん認定活用の詳細はこちら

小柳建設株式会社:建設業の課題解決

引用:小柳建設株式会社

小柳建設株式会社は、えるぼし認定・くるみん認定を獲得し、建設業の課題解決に成功しました。

現場のパトロールから始めて女性従業員の環境改善策を洗い出し、事務職から技術者へのキャリアチェンジや衛生環境の改善を進めています。

小柳建設株式会社のえるぼし認定・くるみん認定活用の詳細はこちら

まとめ

えるぼし認定は女性活躍推進の取り組みを実施する企業を認定する制度で、くるみん認定は育児支援の取り組みを実施する企業を認定する制度です。

ものづくり補助金や働き方改革推進支援資金などを申請する際に、えるぼし認定・くるみん認定を受けていると、審査に通過しやすくなります。

事業成長のために資金調達を検討しており、女性活躍や子育て支援に力を入れている事業者は、えるぼし認定・くるみん認定の申請から始めましょう。

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