
コラム
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「2025年も引き続きIT導入補助金が実施されるのか?」と疑問を持つ方は多いでしょう。
政府の令和6年度(2024年度)の予算で、IT導入補助金の事務局候補が募集され、8月28日には採択された事務局が正式に発表されました。
IT導入補助金は2025年度にも実施される方向性が確定しました。
本記事ではIT導入補助金2025に関する最新の変更内容や重要なポイントを解説します。
IT導入補助金2025の詳細が中小企業庁より公開されました。
引用元:IT導入補助金2025の詳細
2025年度もIT導入補助金実施の決定は、中小企業基盤整備機構が公開した令和6年度当初予算「サービス等生産性向上IT導入支援事業」に関する事務局公募から確認されています。
具体的なスケジュールは未発表です。
しかし事務局業務が2025年8月末まで継続することから、2024年度のプログラムと似たような運用スケジュールが組まれることが予想されます。
現時点で判明している変更点を確認しておきましょう。
IT導入補助金2025の変更点は「最低賃金近傍の事業者は、通常枠の補助率が2/3に拡大」や「通常枠およびインボイス枠(インボイス対応類型)で補助対象経費が拡大」などの3つです。
支援がさらに拡充され、セキュリティ面も強化されます。
2024年のIT導入補助金では、通常枠の補助率は1/2に設定されていました。
一方2025年版では、最低賃金近傍の事業者の補助率が2/3に引き上げられます。
パートやアルバイトを多く抱える中小企業や小規模事業者が該当します。
基本的な経費に加え、新たに2つの経費が対象範囲に含まれます。
システム導入だけでなく、IT活用の定着・持続可能な運用体制の構築につながります。
セキュリティ対策推進枠の補助金上限額が100万円から150万円へと引き上げられます。
さらに小規模事業者に対する補助率が従来の1/2から2/3へと拡充し、より手厚いサポートが提供されるようになっています。
IT導入補助金は小規模事業者や中小企業がデジタル技術を活用して業務効率化を図る際に、国が費用の一部を支援する仕組みです。
詳細は公募要領に明記されているため、申請を検討する際には確認しましょう。
なお未登録の事業者やサービスを利用した場合、補助金が適用されません。
補助金の活用を検討している事業者は、登録されているIT導入支援事業者と密に連携し、経営課題の解決に向けて最適なITツールを選ぶことが成功への鍵となります。
通常枠とは企業が抱える課題解決のためにITツール導入を支援する補助金制度です。
業務効率の向上や生産性の改善、さらには競争力の強化といった目的で活用されることを想定しています。
通常枠での補助率は1/2です。
ただし2025年度補正予算での拡充点として、最低賃金近傍の事業者は2/3となります。
補助額は取り組んだ業務プロセスの数に応じて算出されます。
補助率 | 1/2 |
補助額 | 1プロセス以上:5万円以上150万円以下 4プロセス以上:150万円以上450万円以下 |
補助金の対象となる費用の詳細は「 顧客サービス・販売サポート」や「 決済業務・債権管理・資金回収/運用 」などの8つです。
通常枠で具体的に対象となる補助対象経費を表示します。
大枠 | 詳細 |
---|---|
ソフトウェア | ソフトウェア購入費クラウド利用料(最大2年分) |
導入関連費(オプション) | 機能拡張やデータ連携ツールの導入セキュリティ対策実施に係る費用 |
導入関連費(役務の提供) | 導入コンサルティング導入設定・マニュアル作成・導入研修保守サポートに係る費用 |
近年多くの企業がデータ管理方法としてクラウドを活用し、データの保存・処理・共有・転送が迅速に行えるようになりました。
導入時に必要となるコンサルティング費用・外部専門家による講義・サポート費用も補助対象として含まれるケースがあります。
インボイス枠(インボイス対応類型)とは、インボイス制度に対応した会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフトを導入した事業主をサポートする枠組みです。
インボイス枠(インボイス対応類型)の概要
インボイス枠(インボイス対応類型)の補助金制度では、補助率・補助額・補助対象の要件が決められています。
補助率 | 3/4、4/5※1 | 2/3 |
補助額 | 50万円以下(会計・受発注・決済のうち1機能を有すること) | 50万円超350万円以下※2(会計・受発注・決済のうち2機能以上を有すること) |
※1中小企業は3/4、小規模事業者は4/5
※2補助額50万円超の際の補助率は、補助額のうち50万円以下は3/4(小規模事業者は4/5)、50万円超は2/3
補助対象別の補助率・補助額を見てみましょう。
補助対象 | 補助率 | 補助額 |
---|---|---|
PC・タブレット等 | 1/2以内 | 10万円以下 |
レジ・券売機等 | 1/2以内 | 20万円以下 |
小規模事業者は補助率が優遇されていることがわかります。
インボイス枠(インボイス対応類型)で支援対象となる具体的な経費を表示します。
大枠 | 詳細 |
---|---|
ソフトウェア | インボイス制度に対応し、「会計」・「受発注」・「決済」の機能を有するソフトウェア |
オプション | 機能拡張データ連携ツールセキュリティ |
役務 | 導入コンサルティング導入設定・マニュアル作成・導入研修保守サポート |
ハードウェア(ハードウェアを補助対象として申請する場合は、ハードウェアがソフトウェアの使用に資するものであること) | PCタブレットプリンタースキャナ複合機POSレジモバイルPOSレジ券売機 |
インボイス制度に適応したソフトウェアを取り入れることで、業務効率化が図れます。
インボイス枠(インボイス対応類型)の利用により、ソフト・ハードウェアの導入にかかる費用の最大4/5が補助される仕組みが用意されています。
インボイス枠(電子取引類型)とは、商流全体で受発注システムを導入する企業を支援する枠組みです。
発注業務を担う企業がインボイス制度対応のITツール(受発注ソフトなど)を導入した際、取引先である中小企業・小規模事業者に無償のアカウントを提供します。
アカウント提供に伴いシステム導入費用の一部が公的に補助され、関連企業全体でのインボイス対応環境の構築につながります。
インボイス枠(電子取引類型)の補助率・補助額を示します。
補助率 | 中小企業・小規模事業者等:2/3大企業:1/2 |
補助額 | 下限なし~350万円以下 |
補助率は申請者の企業規模によって異なり、「中小企業・小規模事業者」か「大企業」に分類され、それぞれで適用される支援割合が変わります。
インボイス枠(電子取引類型)の補助対象となるソフトは、受発注業務に必要な機能を備え、インボイス制度の要件に適合したものです。
ソフトは発注を行う企業によって導入され、取引相手である受注側の事業者に無償で利用可能なアカウントを発行できることが条件となっています。
さらに補助金の対象範囲はクラウドサービスの利用料に限られ、期間は最長で2年間分が支援の対象となることが明記されています。
サイバー攻撃のリスクを軽減し、事業の安全を確保することを目的とした支援制度が「セキュリティ対策推進枠」です。
企業や団体がセキュリティソフトを導入する際、取り組みをサポートする仕組みを提供しています。
2024年度セキュリティ対策推進枠の補助率1/2・補助額5万円以上100万円です。
ただし2025年度補正予算での拡充点として、小規模事業者は2/3、補助額の上限は150万円に引き上げられます。
補助率 | 1/2 |
補助額 | 5万円以上100万円 |
近年頻繁に起きるサイバー攻撃は一層高度化し、一旦企業システムに被害が及ぶと、業務に多大な支障が出ています。
有効なセキュリティソフトを早期に導入し、潜在的なサイバーインシデントを発生前に抑止することが、事業の安定運営を守る上で最も重要と言えます。
セキュリティ対策推進枠は「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスが対象となり、最大2年分支援されます。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営し、企業が直面するセキュリティ上の課題に素早く対応できるよう設計されています。
以降は2024年IT導入補助金の情報です。
2024年のIT導入補助金(通常枠)の申請スケジュールを示します。
▼7次締切分(※2024年分最終回・事業実施期間が従来より短め)
項目 | 詳細 |
---|---|
募集期間 | 受付開始:2024年2月16日(金) 2024年2月16日(金)受付開始~2024年10月15日(火)17:00 受付終了 |
締切日 | 2024年10月15日 (火) 17:00 |
交付決定日 | 2024年11月22日 (金) |
事業実施期間 | 交付決定~2025年1月16日 (木) 17:00 |
事業実績報告期限 | 2025年1月16日 (木) 17:00 |
【終了分】
項目 | 2次締切分 | 3次締切分 | 4次締切分 | 5次締切分 | 6次締切分 |
---|---|---|---|---|---|
募集期間 | 受付開始:2024年2月16日(金)2024年2月16日(金)受付開始~2024年10月15日(火)17:00 受付終了 | 受付開始:2024年2月16日(金)2024年2月16日(金)受付開始~2024年10月15日(火)17:00 受付終了 | 受付開始:2024年2月16日(金)2024年2月16日(金)受付開始~2024年10月15日(火)17:00 受付終了 | 受付開始:2024年2月16日(金)2024年2月16日(金)受付開始~2024年10月15日(火)17:00 受付終了 | 受付開始:2024年2月16日(金)2024年2月16日(金)受付開始~2024年10月15日(火)17:00 受付終了 |
締切日 | 2024年4月15日 (月) 17:00 | 2024年5月20日 (月) 17:00 | 2024年6月19日 (水) 17:00 | 2024年7月19日 (水) 17:00 | 2024年8月23日 (金) 17:00 |
交付決定日 | 2024年5月27日 (月) | 2024年6月26日 (水) | 2024年7月29日 (月) | 2024年8月30日 (月) | 2024年10月3日 (木) |
事業実施期間 | 交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00 | 交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00 | 交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00 | 交付決定~2024年11月29日 (金) 17:00 | 交付決定~2024年12月9日 (月) 17:00 |
事業実績報告期限 | 2024年11月29日 (金) 17:00 | 2024年11月29日 (金) 17:00 | 2024年11月29日 (金) 17:00 | 2024年11月29日 (金) 17:00 | 2024年12月9日 (月) 17:00 |
枠によってはスケジュールが異なるため注意が必要です。
詳細はIT導入補助金の公式サイトから確認できます。
2025年のIT導入補助金に関する申請スケジュールは現段階では公開されていません。
ただしIT導入補助金は、2025年も継続的に実施されることが見込まれています。
2024年度の募集期間は2月16日から10月15日17:00までだったため、2025年も2月頃から募集が開始される可能性があります。
申請・導入のフロー(IT導入補助金2024)
申請・導入のフローを説明します。
サイトの内容や公募要領を読み、手続きの流れを把握しましょう。
交付申請の要件には「gBizIDプライム」アカウント取得に加えて、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の宣言が必要になります。
「みらデジ」ポータルサイト内にgBizIDで登録し、「経営チェック」を進めます。
自社の業種や事業規模及び経営課題に沿って、IT導入支援事業者と導入したいITツールを選定します。
IT導入支援事業者との間で商談を進め、交付申請の事業計画を策定し、交付申請をします。
交付申請内容の審査が完了すると、交付決定通知がされます。
交付申請を完了し事務局から「交付決定」を受けたら、ITツールの発注・契約・支払い等を行うことができます。
補助事業の完了後実際にITツールの発注・契約、納品、支払い等を行ったことが分かる証憑を提出します。
事業実績報告が完了し補助金額が確定すると、『申請マイページ』で補助額を確認できるようになります。
事業実施効果報告を定められた期限内に、補助事業者が『申請マイページ』より必要な情報を入力します。IT導入支援事業者の確認を経て、提出します。
IT導入補助金を活用するメリットは「ITツール導入のリスクを最低限に抑える」や「原則返済は不要」などの4つです。
IT導入補助金を活用するメリット
中小企業・小規模事業者はITツール導入に対するリスクが軽減されるため、業務効率の向上やDXの推進を図れます。
中小企業・小規模事業者はIT導入補助金によってリスクを最低限に抑えることが可能です。
交付決定後に購入手続きを行えるため「ツールを購入したが補助金が認可されなかった」という事態は避けられます。
ただし購入費用の還付が後払いとなるため、立て替え資金が必要です。
IT導入補助金は基本的に返済が不要です。
企業が事業計画に基づき正しくITツールを導入し、成果をきちんと報告すれば、補助金の返済義務を負うことはありません。
企業は資金繰りに余裕を持ちながら、業務効率化やDX向上を目指せます。
IT導入補助金は同一年度に複数回の利用が可能です。
2023年度には通常枠で合計10回、またデジタル化基盤導入枠では17回という頻度で募集が行われました。
何回も募集があるため一度申請が通らなかったとしても、諦めず再挑戦を行えます。
過去に補助金を利用した企業でも、交付決定日から12ヶ月以上が経過していれば再び申請が可能です。
IT導入補助金は小規模な投資でも利用できる点が大きな魅力です。
申請対象となる補助額の下限が設定されていないケースや、たとえ設定があっても少額から補助を受けられる枠組みが用意されています。
大規模な設備投資が厳しい小規模事業者であっても、必要なITツールの導入が現実のものとなります。
IT導入補助金の活用例を見ると、導入されたITツールがそれぞれの企業にどのような変化をもたらしたのかが明白です。
IT導入補助金の活用例
2つの事例を紹介しましょう。
ある企業では働き方改革を推進する一環として、政府の「IT導入補助金」制度を活用し、最先端の勤怠管理ツールを取り入れることに踏み切りました。
新システムの導入前人事部門では、勤怠データの手動処理や給与計算の準備作業に多大な時間を費やしていましたが、導入後業務の大幅な簡略化によって月約10時間も削減されました。
浮いた時間を社員教育や職場環境の改善にと振り分けることができたのです。
さらに勤怠データの精度向上により、従業員の総残業時間が約30%削減され、従業員のワークライフバランスも改善しました。
ある企業では経営の効率化と透明性向上を目的にIT導入補助金を活用し、新たに販売管理システムを導入しました。
今回導入された販売管理システムは、経営に関わる売上・需要予測・仕入れ単価の推移のデータが一目でわかるものです。
適切な在庫管理と仕入れの最適化が実現したことで、利益率が向上し財務状況がより健全なものへと変化しました。
さらにシステムによる正確な経営データの提供は、スムーズな事業承継プロセスにも有用でした。
IT導入補助金に関するよくある質問を4つ回答します。
国による他の助成金・補助金との併用が可能ですか
IT導入補助金は基本的に国による他の助成金・補助金と併用はできません。
ただし申請対象となるサービスやソフトウェア、さらには経費の内容が重複しない場合に限り、それぞれの支援制度を活用できます。
事前に詳細な内容を確認し、適切な条件を満たしているかを慎重に検討しなければなりません。
他の枠と同一公募回の申請でも構いませんか
同じ公募回であっても、他の枠へ申請できます。
また異なる公募回で申請を行うことも認められています。
開業したばかりでも申請は可能ですか
開業直後の事業者でも申請条件をクリアし、必要な書類がそろっている場合は申請可能です。
申請方法の詳細はIT導入補助金の公募要項を参照ください。
交付申請書類は法人と個人事業主で異なるため注意しましょう。
ホームページ制作は補助対象ですか
ホームページ制作はECサイトの作成も含めて補助の対象ではありません。
2023年までのルールとは異なる点のため留意しましょう。
本記事では中小企業・小規模事業者が活用できるIT導入補助金の仕組みを解説するとともに、2025年度の改訂ポイントを詳しくお伝えしました。
IT導入補助金はITツールを導入する際のコスト負担を軽減し、業務の効率化や生産性向上を図るための制度です。
2025年度の詳細なスケジュールはまだ決まっていないため、IT導入補助金2024のスケジュールを参考に準備を進めることは大切です。
一方で2025年度版では一部の支援2025年度版では一部の支援内容が拡充されることが公式に発表されています。
2025年度の制度開始に向けて今から準備を進め、デジタル技術を活かした事業成長を図りましょう。
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