コラム

【2024年最新】省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金を徹底解説!

「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金とは何?」
「いくら補助してもらえる?」

省エネルギーに向けた企業の対策を支援する動きとして、省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金が注目されています。

新しい機材の導入や事業構造そのものの転換に多額のコストがかかるため、省エネルギーに向けた取り組みが進められていない方も多いでしょう。

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金を活用すれば、省エネルギー効果が期待できる経費を国から補助してもらえます。

本記事では省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金の概要を解説します。

補助限度額や補助対象経費なども解説しているので、ぜひ参考にしてください。

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金とは?既存の工場・事業場を省エネ設備に更新する費用の補助制度

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金とは?既存の工場・事業場を省エネ設備に更新する費用の補助制度

引用:省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金 事業概要

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金は、既存の工場・事業場を省エネルギー設備に更新する費用が補助できる制度です。

工場・事業場型、電化・脱炭素燃転型、エネルギー需要最適化型の3種類の枠組みが用意されています。

  • 工場・事業場型:工場・事業全体で、機器設計が必要な設備の設計・製造にかかる費用を支援
  • 電化・脱炭素燃転型:化石燃料から電気や低炭素な燃料への転換を目的とした設備導入にかかる費用を支援
  • エネルギー需要最適化型:エネルギーマネジメントシステムを用いて、省エネルギー効果の最適化を図る際にかかる費用を支援

どの枠組みに該当するかで、補助上限額や必要書類などが異なるため、補助制度の詳細な要件をチェックしましょう。

概要省エネルギー投資促進・
需要構造転換支援事業費補助金
補助金限度額30万円~15億円
補助率最大2/3
補助対象経費設計費
設備費
工事費
補助金の対象事業全事業
(枠組みごとで要件の指定あり)
申請方法書類郵送
必要書類交付申請書
補助事業計画変更承認申請書
補助事業事故報告書
補助事業実績報告書
精算(概算)払請求書
補助事業年度末実績報告書
成果報告書
など

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金は、従来までの制度よりも多額の最大15億円の支援が受けられます。

しかし細かい申請要件が定められており、必要書類も多いため、早いうちから制度申請の準備を進めましょう。

エネルギーマネジメントシステムは、エネルギーの使用状況を管理して、エネルギー利用を最適化させるシステムです。
エネルギーマネジメントシステムを活用すると、コストカットしながら省エネルギー効果が実現できます。

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金の補助限度額は30万円~15億円

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金の補助限度額は30万円~15億円

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金の補助金限度額は30万円から15億円で、枠組ごとで金額が異なります。

枠組み補助金限度額
工場・事業場型
先進設備・システムの導入
100万円~15億円
工場・事業場型
オーダーメイド型設備の導入
100万円~15億円
電化・脱炭素燃転型30万円~3億円
エネルギー需要最適化型100万円~1億円

設備・システムの導入には多額のコストがかかるため、補助金限度額が高く設定されています。

また複数年度の事業の場合、最大40億円の費用の補助が受けられます。

枠組み補助金上限額
(複数年度の事業)
補助金上限額
(非化石・電化申請時の

複数年度の事業)
工場・事業場型
先進設備・システムの導入
30億円40億円
工場・事業場型
オーダーメイド型設備の導入
20億円30億円
電化・脱炭素燃転型3億円5億円
エネルギー需要最適化型1億円

補助してもらいたい事業が複数年度にかけて実施される場合、補助金額を増やすために、複数年度の事業枠に申し込みましょう。

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金の補助率は最大2/3

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金の補助率は最大2/3

引用:省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金 事業概要

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金の補助率は最大2/3で、補助率の上限も枠組ごとで異なります。

枠組み補助率
(中小企業者等)
補助率
(大企業、その他)
工場・事業場型
先進設備・システムの導入
2/3以内1/2以内
工場・事業場型
オーダーメイド型設備の導入
1/2以内1/3以内
電化・脱炭素燃転型1/2以内1/2以内
エネルギー需要最適化型1/2以内1/3以内

補助率は事業規模によっても異なり、事業規模の小さい中小企業のほうが補助率が高く設定されています。

資金不足の問題で省エネルギー・需要構造転換に踏み出せていない成長段階の企業は、省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金を積極的に活用しましょう。

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金の補助対象経費は設計費・設備費など

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金の補助対象経費は、設計費・設備費・工事費のみです。

ただし電化・脱炭素燃転型は、補助できる経費が設備費のみに限定されています。

枠組み補助対象経費
工場・事業場型
先進設備・システムの導入
設計費
設備費
工事費
工場・事業場型
オーダーメイド型設備の導入
設計費
設備費
工事費
電化・脱炭素燃転型設備費
(電化の場合は付帯設備も補助可能)
エネルギー需要最適化型設計費
設備費
工事費

電化・脱炭素燃転型の枠組みのうち、電化を目的として補助制度を活用する場合は、付帯設備にかかる費用も補助されます。

またどの枠組みにおいても、省エネルギー投資や需要構造転換に関する設計費・設備費・工事費以外の経費は補助されません。

補助制度を活用する場合でも、補助対象ではない省エネルギー投資や需要構造転換にかかる経費は、可能な鍵り減らしましょう。

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金の対象事業

引用:省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金 公募要領

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金は、全事業申請できますが、要件を満たす必要があります。

事業要件も枠組みごとに設定されています。

枠組み補助金の対象事業
工場・事業場型
先進設備・システムの導入
先進的な設備・システムの導入で、
省エネルギー効果の要件を満たす事業
工場・事業場型
オーダーメイド型設備の導入
オーダーメイドの設備・システムの導入で、
省エネルギー効果の要件を満たす事業
電化・脱炭素燃転型SIIが公表した補助対象設備の導入で、
電化・脱炭素目的の燃料転換を伴う事業
エネルギー需要最適化型SIIが公表したエネルギーマネジメントシステムの導入で、
省エネルギー効果の要件を満たす事業

工場・事業場型の枠組みにおいては、先進設備・システムの導入とオーダーメイド型設備の導入で、要件を満たす数値基準が異なります。

省エネルギー効果の要件先進設備・システムの導入オーダーメイド型設備の導入
省エネルギー率+非化石割合増加率30%以上10%以上
省エネルギー量+非化石使用量1,000kl以上 700kl以上 
エネルギー消費原単位改善率15%以上7%以上

先進設備・システムの導入は求められる数値基準が、オーダーメイド型設備の導入より高いです。

工場・事業場型の枠組みで補助制度を活用する際には、必要な要件を満たしているか確認しましょう。

SIIは環境・エネルギー分野の技術革新・創出を目的として活動する民間団体です。
環境省・経済産業省などと連携して、企業の省エネルギー活動の普及を進めています。

またエネルギー需要最適化型の枠組みにおいては、投資回収年数や指定された事業内容などの5つの要件をすべて満たす必要があります。

  1. 投資回収年数が5年以上
    (投資回収年数=補助対象経費[円]÷(計画省エネルギー量[kl/年]×燃料評価単価[円/kl]))
    (燃料評価単位=対象期間の事業所単位のエネルギーコスト[円]÷同期間の事業所単位のエネルギー使用量[kl])
  2. 省エネ法に基づいて作成した中長期計画書等に記載されている事業
    (「エネルギー使用量が1,500kl以上の工場・事業場」と「中小企業者に該当しない会社法上の会社」)
  3. 経費当たり計画省エネルギー量が補助対象経費1,000万円当たり1kl以上の事業
  4. 導入した補助対象設備の1年間のエネルギー使用量と省エネルギー効果を報告できる事業
  5. 導入設備がトップランナー制度対象機器の場合は、エネルギー消費効率の基準値を満たすこと

投資回収年数は数値を計算して5年以上になれば、対象経費が補助されます。

燃料評価単位を計算する際には、事業所単位のエネルギーコストの対象期間がいつに設定されているか、申請前に公募要領を確認しましょう。

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金の申請時は書類での郵送が必要

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金の申請時は書類での郵送が必要

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金を申請する際には、8つのステップで手続きを進めましょう。

補助事業ポータルのアカウントを登録する
補助事業ポータルのアカウントを登録する

引用:SII:一般社団法人環境共創イニシアチブ

まずは補助事業ポータルのアカウントを登録します。

公式サイト記載の「アカウント登録」ボタンをタップして、ページ記載の流れに沿ってアカウントを登録しましょう。

公募要件や更新する設備・システムを確認・検討する

アカウント登録が完了したら、公募要件を確認して、更新する設備・システムを選びます。

既存の設備の能力や稼働条件を考慮して、どこまで設備・システムを更新すれば十分か整理しましょう。

見積もりを取得する

次に見積もりを取得し、発生する経費を確認します。

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金は経費を補助する制度であり、経費を免除する制度ではありません。

先に経費の支払いが必要なので、補助対象経費の支払いが完了するまでに導入する設備が手配できるかチェックしましょう。

申請する区分を検討する
申請する区分を検討する

引用:省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金 公募要領

経費を整理したら、申請する区分を検討しましょう。

申請する事業区分は「設備ごとに省エネルギー量を算出」、「事業全体の省エネルギー量を算出」、「申請要件を満たす事業区分を確認」の順番で決めます。

必要な書類を作成する
必要な書類を作成する

引用:省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金 交付申請の手引き

次に決算書や登記簿謄本などの必要書類を集めて、申請書類を作成します。

交付申請の手引き」や「提出書類一覧」などを確認して、対象の区分に必要な書類をチェックしましょう。

省エネルギー量を算出して全体の費用とスケジュールを整理する

再度省エネルギー量を算出して、全体の費用と制度の申請スケジュールを確認しましょう。

補助制度の申請スケジュールをチェックして、申請時期を逃した場合は、次の公募情報が出るまで待つしかありません。

補助事業ポータルで必要事項を入力して、印刷する
補助事業ポータルで必要事項を入力して、印刷する

引用:省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金 補助事業ポータルの手引き

申請手続きを進める際には、補助事業ポータルで必要事項を入力します。

補助事業ポータルでは、「全事業対象の申請情報」と「各区分の申請情報」を登録します。

必要事項を登録したら入力内容を最終確認して、問題なければ提出用の書類を印刷しましょう。

「全事業対象の申請情報」と「各区分の申請情報」の必要事項の入力方法は、「補助事業ポータルの手引き」から確認できます。

書類の郵送先
〒104-0061 東京都中央区銀座2-16-7 銀座2丁目松竹ビル6階 一般社団法人環境共創イニシアチブ 事業第1部
「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」 4次公募 交付申請書在中

書類をまとめて郵送する

提出用の書類を印刷したら、必要な書類をすべてまとめます。

提出する書類はファイリングして、交付申込書を作成して郵送します。

念のため書類郵送前に、手元に控えるための副本を作成しましょう。

4次公募期間は2025年1月14日まで

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金の4次公募期間は、2025年1月14日(火)までです。

2024年9月13日(金)から受け付けています。

あと約1ヵ月ほど受付期間の猶予が残されているため、省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金を検討中の方は、早めに申請の準備を進めましょう。

4次公募の単年度事業は受付終了している

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金の4次公募は、単年度事業は2024年12月現在受付を終了しています。

申請できるのは複数年度事業のみです。

ただし3次公募期間は、2024年9月13日(金)から2024年10月31日(木)でした。

従来通りのスケジュールであれば、2025年1月14日(火)以降1ヵ月も経たないうちに、5次公募の受付が開始される可能性があります。

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金の申請には交付申請書や事業計画書などが必要

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金の申請には交付申請書や事業計画書などが必要

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金は、申請時に7つの書類の提出が必要です。

  • 交付申請書
  • 補助事業計画変更承認申請書
  • 補助事業事故報告書
  • 補助事業実績報告書
  • 精算(概算)払請求書
  • 補助事業年度末実績報告書
  • 成果報告書

7つの書類とは別に、枠組みごとで追加書類を提出する必要があります。

必要書類工場・事業場型
先進設備・

システムの導入
工場・事業場型
オーダーメイド型

設備の導入
電化・
脱炭素燃転型
エネルギー需要
最適化型
交付申請書
補助事業に要する経費、
補助対象経費及び
補助金の配分額
補助事業に要する経費の
四半期別発生予定額
役員名簿
申請総括表
事業者情報
手続担当申請書
資金調達計画
事業実施に関連する事項
所要資金計画
発注区分表
導入前後の比較図
新設備の配置図
事業場の全体図
事業スケジュール
事業概要
省エネルギー計算
エネルギー使用量の
原油換算表
見積金額一覧表
見積書
発注区分表
参考見積書
既存設備と導入設備の
比較表
新設備の配置図
旧設備の撤去範囲
導入設備一覧

必要書類が多いため、申請前に書類漏れがないかよく確認してから申請書を提出しましょう。

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金の活用事例

ここでは省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金を活用した企業の事例を2つ紹介します。

1つずつみていきます。

株式会社アイカ:本社の省エネルギー化事業

引用:株式会社アイカ

株式会社アイカは省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金を活用し、本社の省エネルギー化を進めました。

園芸用品や農業資材の製造販売を主力事業としており、プランターの製造工程に必要な射出成形機を油圧式から電動式に切り替えました。

45.2%の省エネルギー化に成功しており、年間で275万円のコストカットを実現しています。

株式会社アイカの省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金活用の詳細はこちら

株式会社アイ・テック:豊橋支店・北陸支店における省エネ事業

引用:株式会社アイ・テック

株式会社アイ・テックは省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金を活用し、豊橋支店・北陸支店での省エネ化を進めました。

豊橋支店は加工効率を引き上げる施策を実施し、北率支店は工場証明のLED化やH型鋼加工ラインの伸長などで業務を効率化させる施策を実施しました。

71.6%の省エネルギー化に成功しており、年間で662万円のコストカットを実現しています。

株式会社アイ・テックの省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金活用の詳細はこちら

まとめ

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金は、既存の工場・事業場を省エネルギー設備に更新する費用が補助できる制度です。

従来までの省エネルギー向け補助金よりも補助可能な金額が多いため、省エネルギー化・需要構造転換に必要な大胆な投資を進めやすくなりました。

億単位の補助もできるため、大企業の省エネルギー化・需要構造転換にもおすすめです。

事業規模に関係なく、省エネルギー化・需要構造転換を検討中の事業者は、省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金を活用しましょう。

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